トランプ米大統領は23日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、米国内で販売される米アップルのスマートフォン(スマホ)「iPhone」が海外で製造されたものならば、アップルが25%の関税を支払う必要があると主張した。(2025年 ロイター/Dado Ruvic)
[23日 ロイター] – トランプ米大統領は23日、自身のソーシャルメディアへの投稿で、米国内で販売される米アップル(AAPL.O), opens new tabのスマートフォン(スマホ)「iPhone」が海外で製造されたものならば、アップルが25%の関税を支払う必要があると主張した。欧州連合(EU)については関税交渉が不調だと不満を示し、EUからの輸入品に6月1日から50%の関税を課すことを勧告すると投稿した。
市場関係者に見方を聞いた。
◎トランプ氏の交渉戦略の可能性
<シティグループのシニア・グローバル・エコノミスト、ロバート・ソッキン氏>
トランプ米大統領が表明した欧州連合(EU)に対する50%の関税措置は、欧州諸国を交渉のテーブルに引き出すための脅しとみられる。対米貿易黒字が中国に次いで世界第2位である欧州にとって、この新たな関税水準は医薬品や自動車産業に大きな影響を与え、混乱を招くだろう。
50%の関税が課されれば、欧州は景気後退(リセッション)に陥ると予測されるが、実際に実施されるかどうかは疑問だ。米アップルに対する関税の脅しも、対米投資をさらに促すための脅しのように思える。
◎投資家に逃げ場なし
<CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストーヴァル氏>
欧州との関税戦争の再開は、米国だけでなく欧州にも影響を及ぼすだろう。金利上昇で債券が打撃を受けるため、投資家は安全な現金に逃避し、マネー・マーケット・ファンド(MMF)に資金を移すだろう。
さらに金利上昇と関税で企業収益が打撃を受けるとしたら、多くの点で逃げ場はどこにもない。
トランプ大統領がアップル(AAPL.O), opens new tabを標的にしたことを受けて、安全な企業はどこにもないという結論に至った。全ての企業がより高い関税の対象となる可能性があり、最終的に好業績を見通せる企業を個別に選定するのは非常に困難になる。
◎第4四半期まで影響続く
<シーバート・ファイナンシャル(ニューヨーク)の最高投資責任者、マーク・マレック氏>
市場が財政赤字を巡る混乱からようやく立ち直ったかに見えた矢先、関税に関する新たなニュースが飛び込んできた。これは、財政問題の影に隠れていたもう一つの大きな問題、すなわち欧州連合(EU)との関係がうまくいっていない可能性があることを改めて認識させるものだ。
さらに市場ではアップルが関税を回避する方法を見つけるだろうといううわさが飛び交っていた。これは明らかにトランプ大統領の目から逃れられなかった。
市場は当初の下落から少し持ち直しているが、まだ反応を微調整している最中だ。この問題はすぐには解消されない。ほぼ間違いなく今夏には解消されず、おそらく第4・四半期まで市場に影響を与え続けるだろう。
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