世界最大の鶏肉輸出国ブラジルの養鶏場で先週、鳥インフルエンザウイルスが検出された。その影響で世界各地への鶏肉の供給が滞り始めている。

  ブラジルは、ウイルス拡散を防ごうとしており、中国や欧州、メキシコ、韓国など主要輸出先への出荷が停止された。政府のデータによれば、これまでに年間40億ドル(約5700億円)超、全体の40%に相当する市場が閉ざされたことになる。

  ブラジルは、市場で容易には代替できない存在だ。世界の鶏肉の輸出市場の3分の1余りを担っている。これまで鳥インフルエンザの発生がない国として、地元生産者は米国などの競合に対し優位な立場を築いていた。

  コンサルティング企業ダタグロのアナリスト、ジョアン・オタビオ・フィゲイレド氏は「世界最大の供給元を一部の大口輸入国から除外すれば、それらの国々は脆弱(ぜいじゃく)な立場に置かれる」と指摘した。ブラジルからの輸入を停止した購入側では、鶏肉価格が短期間で上昇する可能性があるという。

  ブラジルでは先週、南部のリオグランデドスル州の養鶏場でウイルスが検出された。別の州でも疑いのある事例が調査されており、感染拡大への懸念が高まっている。

  高価な牛肉に代わる手頃な選択肢を消費者が求めていることから、世界的に鶏肉の需要は拡大している。米農務省は、今年の鶏肉の消費量が過去最高に達すると予測している。

原題:World Crazy for Chicken Is Losing Its Biggest Supplier (1)(抜粋)

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