中国のガス企業が、多様な供給源と柔軟な発電システムを強みに、グローバルな供給調整役としての立場を強めている。
中国最大のガス供給会社である中国石油天然気(ペトロチャイナ)海外市場での買い手からより大きなトレーダーへの転換を狙い、液化天然ガス(LNG)輸出プロジェクトの上流の権益取得や、柔軟な購入契約の締結を検討している。ペトロチャイナ副総経理、王海燕氏が、20日に北京で開催された世界ガス会議のディスカッションで明らかにした。
王氏によると、ペトロチャイナは2030年までに、LNGのポートフォリオを現在より75%多い3500万トンに拡大する計画だ。
中国にとって、この状況は役割の逆転と言える。アジアはかつて需要と価格設定の主要な源であり、欧州諸国は過剰供給時に余剰分を吸収する役割を果たしていた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻後、欧州へのパイプラインガス供給が大幅に削減されたことで状況は一変した。
中国最大LNG輸入企業である中国海洋石油(CNOOC)の取引・商品センター総経理、朱燕燕氏は「欧州市場が果たしていたバランス調整の役割は、現在では中国が担っている。中国が複数の資源を豊富に保有しているからだ」と述べた。
朱氏によると、中国は1-3月期にLNG輸入を約20%減らし、ガス価格が急騰していた欧州に貨物を転用したと述べた。不足分の約75%は、国内生産の増加やパイプライン輸入で補ったという。
朱氏は、アジアの国が風力タービンと太陽光パネルの記録的な設置でクリーンエネルギー発電を拡大し、ガス火力発電所の電力発電量を削減する柔軟性を高めたとも指摘した。工場、輸送、家庭用暖房など、他の主要なガス需要部門は柔軟性が低い。
中国の役割変更の理由は、利益の追求もある。国内市場向けにLNGを輸入するより、海外市場へ高値で再販する方が経済的に合理性がある場合もあるためだ。
原題:China’s LNG Traders Embrace New Role as Global Swing Suppliers(抜粋)
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