4月にインド北部カシミール地方で起きた観光客襲撃事件を受け、インドがパキスタンへの報復措置として、パキスタンへ水を供給する主要河川からの自国の取水量を大幅に増やす計画を検討していることが、関係者の話で明らかになった。写真は、インドが管轄するカシミール地方のウリ近くのダム。5月7日、ウリ近郊で撮影(2025年 ロイター)
[ニューデリー/イスラマバード 16日 ロイター] – 4月にインド北部カシミール地方で起きた観光客襲撃事件を受け、インドがパキスタンへの報復措置として、パキスタンへ水を供給する主要河川からの自国の取水量を大幅に増やす計画を検討していることが、関係者の話で明らかになった。
インド政府は襲撃事件を受けて、インダス川水系の利用について定めた水資源協定の履行を停止した。インドとパキスタンは武力衝突の後、先週停戦に合意したが、インドによる同協定の履行停止は解除されていない。
複数の関係者がロイターに語ったところによると、インドのモディ首相は4月22日の襲撃事件後、チェナブ川、ジェラム川、インダス川の3河川について、インフラ計画を迅速に進めるよう当局者に指示した。
現在検討中の主要計画の一つは、インドからパキスタンの主要農業地帯であるパンジャブ州へ至るチェナブ川に設けられたランビル運河の全長を、現在の2倍にあたる120キロメートルに延長することだと関係者2人が明かした。
運河が拡張されれば、取水量を現在の毎秒約40立方メートルから同150立方メートルへ増やすことが可能になるという。
インダス水系はパキスタンの農地の約80%に農業用水を供給しており、さらに水力発電においても重要な役割を果たしている。パキスタン政府は水を止めたり流路を変えたりする試みは「戦争行為」と見なすと警告している。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の水安全保障専門家デビッド・ミシェル氏は、インドがダムや運河などのインフラを建設し、相当量の水をせき止めたり迂回させたりできるようになるまでには「何年もかかるだろう」と述べた。
Graphic: Map showing locations of the hydropower projects that India operates in Kashmir.
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