ウォール街の大手銀行が、2025年の中国経済成長率見通しを引き上げた。中国と米国が一部関税の一時停止で合意したことで、輸出見通しが改善されるとみている。
ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースに加え、オランダのINGグループやブルームバーグ・エコノミクス(BE)のエコノミストらは、それぞれの予測を従来の最低4%から4.6%以上に上方修正した。
ゴールドマンは13日のリポートで、中国は米国との貿易対立の一時的な緩和により、今年の輸出減少を回避できる可能性があるとの見通しを示した。
ただ、見通し改善は、市場にとっては悪材料にもなり得る。トランプ米政権が打ち出した関税の影響を和らげるために必要と見なされていた追加の景気刺激策、例えば政府の借り入れ強化や歳出拡大などが、抑制される可能性があるためだ。
JPモルガンは12日、7月の共産党中央政治局会議前後に導入されると見込んでいた1兆元(約20兆円)規模の財政刺激策の予測を撤回した。ゴールドマンは年内の利下げについて、従来予想の2回(各0.1ポイント)から1回にとどまると見方を変えた。
BEの舒暢、曲天石両氏は 「貿易合意の詳細を詰めるのは困難で時間がかかるだろう。ただし、現時点で中国は一息つける時間を確保した」と分析。
「これは、ハイテク産業の発展と内需拡大に向け、外的ショックに対する経済の脆弱(ぜいじゃく)さを軽減する貴重な時間だ。最終的には、中国がどれだけ消費と投資を伸ばせるかが、より長期的な成長軌道を左右するだろう」とコメントした。
シティグループやUBSグループなどのアナリストらも米中貿易協議を受け、中国経済の見通しには上振れの余地があるとの認識を示した。
原題:Wall Street Sees Higher China Growth, Less Stimulus on US Truce (抜粋)
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