ドイツ連邦議会(下院)は6日、首相選出に向けた第1回投票を実施した。首相選出が確実視されていた保守系キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、首相就任に必要な過半数票を獲得できなかった。6日撮影(2025年 ロイター/Fabrizio Bensch)
[ベルリン 6日 ロイター] – ドイツ連邦議会(下院=定数630)が6日実施した首相指名選挙の第1回投票で、指名が確実視されていた保守系キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、指名に必要な過半数票を獲得できなかった。第1回投票で首相を指名できないのは、第2次大戦後、初めて。欧州最大の経済国の政局が再び不透明になった。
メルツ氏が率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は5日、中道左派政党、社会民主党(SPD)と連立協定に署名し、6日にメルツ政権の発足が見込まれていた。
しかし、第1回投票でのメルツ氏の得票は310票で過半数の316票に届かなかった。CDU・CSUとSPDの議席数は合計328議席で、少なくとも18人の造反が出たことになる。クレックナー下院議長によると、反対は307票、棄権9票。
議長は、各会派で対応を検討するため、議会を一時休会とした。ntv放送は、 議会が午後3時(日本時間午後10時)に再開すると伝えた。
下院は14日以内に再度投票を実施することになる。第2回投票は7日か9日に実施される可能性がある。第2党の「ドイツのための選択肢(AfD)」は7日の実施を支持すると述べた。メルツ氏は再び指名に臨む意向という。
ベレンバーグ(ロンドン)のチーフエコノミスト、ホルガー・シュミーディング氏は「メルツ氏が首相に選出される公算だが、今回の事態は、連立が一枚岩でなく、メルツ氏の政策執行能力を弱める可能性があることを示唆する」と述べた。
INGリサーチのマクロ・グローバルヘッド、カルステン・ブルゼスキ氏は「CDUの誰もが財政方針の転換に賛同しているわけでないという明確な兆候だ」と述べた。
ハノーバー大学のフィリップ・ケーカー氏(政治学)は、メルツ氏は第2回投票で首相に選出されると予想するが「水面下ですでに始まっている攻防が今回のことで激しくなり政党間の関係にダメージとなる」と述べた。
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