ウクライナとロシアの停戦について、米国が提示した提案にウクライナと欧州が反発し今週対案を提示したことが分かった。ロシアによるキーウ空爆、24日撮影(2025年 ロイター/Gleb Garanich/File Photo)
[ロンドン 25日 ロイター] – ウクライナとロシアの停戦について、米国が提示した提案にウクライナと欧州が反発し今週対案を提示したことが分かった。
一連の提案は、今月17日(パリ)と23日(ロンドン)の米国、欧州、ウクライナの当局者による協議で提示された。
米国の提案と、1週間後にウクライナと欧州が提示した提案をロイターが検証したところ、領土問題、対ロシア制裁の解除、ウクライナへの「安全の保証」、ウクライナの軍の規模などを巡り相違がみられた。
領土問題について、米国の提案文書は、ロシアが2014年に編入したクリミアや、ウクライナ南部と東部のロシアが占領している地域を事実上ロシア領と認めるとした。これに対し、ウクライナ・欧州の提案文書では、領土に関する具体的な交渉は停戦成立後とし、ロシア領と認めることには一切触れていない。
ウクライナに対する長期的な安全の保証について、米国の提案は、欧州、その他の友好国が保証人となり、ウクライナが「強固な安全保障」を確保すると述べるにとどめる一方、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)加盟を目指さないとしている。一方、ウクライナ・欧州の提案は、ウクライナの軍備に制限を設けず、同盟国のウクライナ国内への駐留にも規制を設けないとした。またNATOのいわゆる集団防衛条項である第5条に類似する協定によって、米国を含めてウクライナに強固な安全保障を提供するとした。
対ロシア制裁に関しては、米国が、現在協議中の合意の一環として解除することを提案したのに対し、ウクライナ・欧州案は「持続可能な和平が達成された後に段階的に緩和」し、ロシアが合意の条件に違反した場合は制裁を再開できるとした。さらにウクライナはロシア侵攻による損害の金銭的補償を凍結されたロシアの海外資産から得られるとした。米国案は、ウクライナが金銭的な補償を受けると表記したが、その資金源は示していない。
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