2026年春夏シーズンのトレンドは、どうなるのか。指標となる「ミラノ・ウニカ」(2月4-6日)と「プルミエール・ヴィジョン」(2月11-13日)という2大見本市を経て、大まかな輪郭が見えてきた。2つの見本市を軸にテキスタイルデザイナーの梶原加奈子KDS代表が、テキスタイルトレンドをリポートする(写真・文ともに梶原加奈子)。
vol.1の「プルミエール・ヴィジョン」リポートはこちら
vol.2の「ミラノ・ウニカ」リポートはこちら
キーワードは「AI × 自然 × 歴史」
PVサステナブルフォーラム
未染色やクラフト感がある素材が並ぶ
爽やかで涼しげなサックスブルー
曖昧に混じる合う多様な色合い
2026年に、社会は大きな転換期を迎えそうです。多様性を尊重する価値観、温暖化対策への意識、バイオ革命の進展、そして新しい社会のあり方を模索する中で、私たちのライフスタイルもアップデートされる。社会は「人間中心」を掲げた第5次産業革命に向かい、環境への柔軟な対応力と、深い内面性が求められる時代へと突入しました。
ファッション業界もその潮流の中で、大きく変化を遂げることは間違いありません。2026年春夏シーズンのキーワードは、「AI × 自然 × 歴史」。上質で長く愛されるモノ、心と五感を癒すデザイン、そして伝統と先端テクノロジーが交差する世界観が、新たな価値を創出しそうです。
サステナビリティ×アンティーク&クラシック
素材選びにおいては、植物由来や再生素材など、環境負荷の少ない選択が主流に。天然素材が本来持つ機能性や、古来の知恵を取り入れた技術がより注目を集めそうです。古着やヴィンテージの価値も高まり、モードの方向性はよりアンティークやクラシックになりそうです。
「ミラノ・ウニカ(MILANO UNICA)」「プルミエール・ヴィジョン(PRMIERE VISION)」、いずれの大型見本市でもスラブやネップ糸、ダメージ加工など、粗野感のある生地が多数登場しました。色味は未染色、ベージュ、草木染め風の淡いトーン、インディゴなど自然由来の色合いがトレンドに。使い古したような「パステルヴィンテージカラー」も新鮮な印象を与えていました。
環境と人権への配慮はますます重要になります。GOTS(=Global Organic Textile Standard、ゴッツ)やGRS(Global Recycled Standard)などの認証取得はもちろん、グリーンウォッシュ回避への意識も高まり、企業の説明責任が問われています。生産背景のトレーサビリティ、循環型のデザイン提案、農業廃棄物から作られたパイナップルファイバーやココナッツ繊維など、革新的な素材も続々登場しています。
古代の知恵を反映!?レトロエスニック柄が急上昇
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