中国政府は2015年5月、25年までの10年間で製造業のレベルを大幅に向上させ、「製造強国」の仲間入りを目指す国家戦略「中国製造2025」を発表。目標実現に向けて10大重点分野(情報技術産業、工作機械・ロボット、航空・宇宙用設備、海洋工程設備・船舶、交通設備、省エネ・新エネ自動車、電力設備、農業用機器、新素材、バイオ医薬・医療機器)を制定した。

「中国製造2025」に基づく中国の取り組みは、米国に強い警戒感をもたらした。数値目標を掲げながら、軍事転用にもつながる技術開発に力を入れることなどが不信感を招き、今日の深刻な米中対立の一因となった。中国政府は米国の批判を意識して、19年以降は「中国製造2025」という言葉を公式の場で使っていない。とはいえ、目標を放棄したわけではなく、むしろ「米中デカップリング」の進展を背景に、技術の国産化を推進してきた。

 政策発表から10年余りが経過した現在、「中国製造2025」の目標はどの程度達成されたのであろうか。香港英字紙『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』(24年4月30日付)は10大重点分野の約260の目標を分析した結果、86%以上が達成され、特…



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