エジプトの大富豪ナセフ・サウィリス氏が英国を離れたことが明らかになった。
イングランドプレミアリーグのサッカーチーム、アストンビラの共同オーナーであるサウィリス氏(64)は、これまで英国在住と申告していたが、現在はイタリア在住と登記簿に記載されている。
外国人富裕層の税制優遇を減らす英政府の政策の影響があらためて浮き彫りになる。
ナセル・サウィリス氏(2024年)
Photographer: Zac Goodwin/PA Images/Getty Images
ベルギー、エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)の国籍を持つサウィリス氏は、英国からの移住を検討していると1月にブルームバーグが報じていた。
サウィリス氏の代理人はコメントを控えた。
ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、サウィリス氏の純資産は約86億ドル(約1兆3000億円)。英国の富裕層は今年、遺産や海外資産への課税強化、私立学校の学費課税など、数々の負担増に直面している。
長年にわたり法的・政治的安定性の面で高い評価を得てきた英国だが、欧州連合(EU)離脱や10年間に6人の首相が交代したことなどにより、近年はその評判に陰りが見える。
こうした情勢の中、多くの富裕層が中東やシンガポール、イタリアなどに居を移すことを検討するようになった。イタリアでは年間20万ユーロ(約3200万円)の支払いを条件に、裕福な移住者に対して海外所得に対する税制優遇措置が提供されている。
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ドイツのバイオテクノロジー投資家クリスチャン・アンゲマイヤー氏とナイジェリア系レバノン人の実業家バシム・ハイダー氏も最近英国を離れ、それぞれスイスとギリシャに移住した。
原題:Billionaire Aston Villa FC Owner Who Left UK Now Living in Italy(抜粋)
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