トランプ米大統領の「化石燃料回帰」は脱炭素技術に使う重要鉱物の必要性を減らし、その供給を担う中国への依存度低下につながるもののリスクがつきまとう。
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米国では「脱・脱炭素」の動きが加速している。トランプ大統領は1月、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の離脱を発表し、電気自動車(EV)の促進策を廃止する大統領令に署名した。こうした動きは、鉱物資源、とくに重要鉱物といわれる資源のサプライチェーン再編に大きな影響を与える可能性がある。
重要鉱物は、リチウムやニッケルといったレアメタルを含み、脱炭素化やデジタル化の推進に不可欠であることから注目を集め、特に脱炭素に関連した製品での利用で重要性が急激に高まっている。国際エネルギー機関(IEA)によると、重要鉱物の利用量はEVや新エネルギー技術(洋上風力発電・陸上風力発電・太陽電池)では、同等の従来の自動車やエネルギー(石炭・天然ガス)に比べて6倍以上にのぼる。
EVや太陽光パネルなど新エネルギー製品の競争では、中国が世界の市場でシェアを高めているが、その原材料となる重要鉱物でも中国が圧倒的なシェアを…
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週刊エコノミスト
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