中国の外食産業で「中式快餐(中華ファストフード)」が存在感を増している。中華料理の定食や一品料理などを低価格で提供する形態で、デフレ傾向のある中国市場で人気だ。「街の定食屋」的な存在だが、近年は全国チェーンを展開する企業も台頭し、成長期に入ろうとしている。
上海のオフィス街にある商業モール。ランチタイムには中式快餐の店に長蛇の列ができる。訪れたのは「大米先生」という大手チェーン店舗。セルフ方式で好みの料理を選ぶスタイルだ。スペアリブの甘酢煮、カリフラワーのピリ辛炒め、大盛ご飯をチョイスし、支払いコーナーにトレーを置くと画像認識のAIレジが「38元(約760円)」と計算。物価高の上海ではありがたい価格だ。味はやや濃い目だが、ご飯が進み満足感もある。店舗により量り売り方式を用いたり、地方店は価格を低めに設定したりしている。
大米先生の母体は、1996年に重慶市で創業したファストフード式の中華料理レストラン「郷村基」。経営理念は「好吃不貴(ウマくて安い)」。主力メニューは地場の四川料理で、社名でもある郷村基ブランドは中国全土で617店を展開する(24年末時点)。大米先生はそのサブブランドと…
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週刊エコノミスト
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