[ブリュッセル 6日 ロイター] – 欧州連合(EU)は6日、防衛力の強化などを協議する特別首脳会議をブリュッセルで開き、防衛費増額計画を支持するとともに、ウクライナへの継続支援を改めて確認した。
首脳会議にはウクライナのゼレンスキー大統領も参加。各国首脳はEUの執行機関である欧州委員会が提案した、軍事支出向けに最大1500億ユーロの共同借入を行う案などに支持を示した。加盟27カ国全てが合意した共同声明では、各国政府に対しこうした提案の緊急かつ詳細な検討を求めた。
議長を務めたEUのコスタ大統領は「われわれはきょう、EUが挑戦に立ち向かい、防衛の欧州を築き、ウクライナと肩を並べて立っていることを示した」と記者団に述べた。
ポーランドのトゥスク首相は「欧州はこの軍備競争に立ち向かい、勝利しなければならない」とし、「欧州全体として、ロシアとのいかなる軍事的、金融的、経済的な対立にも勝利する能力がある。欧州は力強い」と述べた。
フランスのマクロン大統領は会議後、これらの取り組みは第一歩にすぎないとし、「ウクライナで何が起ころうとも、欧州に自立した防衛力を構築する必要がある」と訴えた。
EU首脳はウクライナに対する支持を改めて表明したものの、支持を表明する声明に、米国のトランプ大統領に同調するハンガリーのオルバン首相が合意しなかった。
欧州連合(EU)は3月6日、防衛力の強化などを協議する臨時の首脳会議をブリュッセルで開き、防衛費増額計画を支持するとともに、ウクライナへの継続支援を改めて確認した(2025年 ロイター/Christian Hartmann)
声明の草案によると、ハンガリーを除く26カ国は、ウクライナ抜きでのウクライナに関する交渉はあり得ないとした上で、支援の継続を確約した。
コスタ氏は「われわれウクライナを守るためにここにいる」と述べ、欧州委員会のフォンデアライエン委員長とともにゼレンスキー大統領を温かく迎えた。
一部の首脳は、少なくとも公の場では、米国をつなぎとめることになお期待を示した。ドイツのショルツ首相は「冷静かつ賢明な判断で、今後数カ月、数年にわたり米国の支援が保証されるようにしなければならない。ウクライナも自国の防衛のために米国の支援に依存しているからだ」と語った。
マクロン氏は、空と海を対象としたロシアとウクライナの部分停戦を求めるゼレンスキー氏の呼びかけをEU首脳が支持したと述べた。ゼレンスキー氏は会議で、この案が侵攻を終わらせるロシアの意志を試す機会になるという見解を示した。
マクロン氏が今週、フランスの核の傘を欧州の同盟諸国に拡大する検討を行う用意があると述べたことについては、慎重ながらも肯定的な反応が示された。
リトアニアのナウセーダ大統領はフランスの核の傘が「ロシアに対する非常に強力な抑止力になる」とし、ポーランドは議論する価値があると述べた。チェコなどは米国の関与を維持する必要性を強調した。
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