3日の日本市場では株式相場が大幅高。米国の対中半導体規制で日本を含む主要同盟国に適用除外が認められたことで、半導体関連株が軒並み上げた。円は対ドルで下落している。
バイデン米大統領
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半導体関連の値がさ株上昇で日経平均株価は一時900円を超える値上がりとなった。米バイデン政権が発表した対中半導体規制では、日本やオランダなどの主要同盟国に適用除外が認められた。また、先の提案ほど多くの主要中国企業を制裁対象にすることもなかった。為替相場では円が売られた。日米金利差縮小を見込む買いがいったん収まった。
辞任間近のバイデン氏の政策が日本株を押し上げると同時に、次期大統領のトランプ氏のソーシャルメディアへの投稿に日本製鉄株が反応した。来年1月の米政権交代に向けた各種政策は、日米金融政策決定と同様に市場のボラティリティーを高める要因になり得る。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジストは、日本の主要半導体メーカーが米国の規制の対象外となったというニュースは間違いなく株式市場にとってポジティブな材料だと述べた。予想を上回った11月の米製造業総合景況指数や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の実質運用利回り引き上げで、市場の地合いが割と良い形になっているとしている。
日本の株式・為替・債券相場-午後3時半過ぎ東証株価指数(TOPIX)終値は前日比1.4%高の2753.58日経平均株価は1.9%高の3万9248円86銭一時900円超、2.4%高まで上昇円は対ドルでニューヨーク終値比0.4%安の150円13銭長期国債先物12月物終値は5銭高の142円87銭新発10年債利回りは横ばいの1.075%株式
東京株式相場は連日で上昇。バイデン政権の対中半導体規制の正式発表を受けて、半導体関連株が高い。米政権は交渉の過程で東京エレクトロンや蘭ASMLホールディングなどの企業に米国の規制を適用することを検討したが、最終的には追求しなかった。
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東エレクが大幅高、一時4.9%値上がりした。ディスコ、レーザーテック、アドバンテスト、SCREENホールディングスも高かった。
TOPIX33業種では電機以外に、円下落を受けて輸送用機器が指数押し上げ寄与度上位に入った。トヨタ自動車は一時2.1%の値上がりとなり、個別銘柄でTOPIX押し上げ寄与度トップになった。
値上がりしていた日本製鉄株は一時下落に転じた。USスチール買収を阻止するとのトランプ次期米大統領のソーシャルメディアでの投稿を受けて売り注文が膨らんだ後に持ち直したが、結局変わらずで取引を終えた。
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為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台前半に下落。日米の金利差縮小を意識した円買い・ドル売りの動きが一服し、ドルを買い戻す動きがやや優勢となっている。
ソニーフィナンシャルグループの石川久美子シニアアナリストは「11月半ばまでのトランプトレードはドル買いで、ポジションはまだ円の売り越しになっているとみられ、リスクオフになると円の買い戻しが強くなりやすい」と指摘。ただ、ドル・円は「材料がないと自律反発の動きが出てくる。今晩の米国市場の材料待ちだ」と述べた。
三菱UFJ信託銀行資金為替部の酒井基成課長は、ドル・円はあまりに下がり過ぎたので「やや戻りを試している」と指摘。その上で、日本銀行による追加利上げを織り込む中で円は強含みになるとの見方を示した。
債券
債券相場は中期債や先物が上昇。警戒された10年国債入札をおおむね無難に通過したことで、買い戻しが入った。日銀の植田和男総裁のインタビュー記事を受けた早期追加利上げ観測の高まりから利回り水準が引き上げられたことで一定の買いが入った。一方、超長期債は軟調な展開が続き、利回り曲線はスティープ(傾斜)化した。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、10年債入札について「利上げ観測でこのところ弱めの入札が続いていたが、金利が上昇すればゆっくりとした利上げペースを想定して押し目買いが入るということで、無難に消化された」と指摘した。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、長期金利は上昇しても1.1%ではね返されるとの見方を示し、「この壁は強固だ」と指摘。市場で1%までの追加利上げはまだ十分織り込まれておらず、「1.1%を超えていくには追加的な材料が必要」と見ていた。
10年債の入札結果によると、最低落札価格は98円32銭と市場予想(98円34銭)をやや下回った。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は5銭と前回4銭から小幅拡大。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.12倍と、前回(3.13倍)とほぼ同水準だった。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債5年債10年債20年債30年債40年債 0.610%0.740%1.075%1.875%2.295%2.640%前日比-1.0bp-0.5bp横ばい+0.5bp+1.0bp+0.5bp
この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。
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