約束通り、高浜1・2号機、美浜3号機の運転を止めるよう関電に求めてください!

福井県知事 杉本達治 殿
2023年6月22日

サヨナラ原発福井ネットワーク
(連絡先:若泉政人)
若狭連帯行動ネットワーク
(連絡先:山崎隆敏)

関西電力の森望社長は去る6月12日、中間貯蔵施設の計画地点を23年末までに確定する約束について、高浜から使用済み燃料200トンをフランスへ輸送する計画をもって「地点確定は達成され、県との約束はひとまず果たした」とし、貴職は「内容を精査する」「立地市町や県議会などの意見も聞いた上で判断する」と述べたとマスコミは伝えています。
 関電の約束は「中間貯蔵施設立地点の候補地」をみつけること!
しかし、関電の約束はあくまでも「中間貯蔵施設立地点の候補地を見つける」ことで、フランスに研究用の200㌧を送り出すことを約束履行とするのは子供だましの詭弁です。それが詭弁であることは、電事連会長が「高浜原発にある使用済核燃料の一部をフランスに運ぶ研究計画について」、「最初から関電を念頭に置いたものではない」と述べていることからも明らかです。電事連会長は「関電、四国電力、九州電力の保管している」使用済MOX燃料の中で「関電のプルトニウム含有量が最も多く。研究に適していると評価された」という「科学的な判断であり、関電がめざす『県外搬出』と研究とは無関係だと強調」しているのです(朝日新聞2023.6.17)。
 再稼動をすすめれば、2020年代後半にはすべてのプールが満杯になる!
 フランスに送る研究用の200㌧は関電の使用済み核燃料の一部にすぎず、それも一回限りです。
使用済MOX燃料そのものの再処理は、溶解しにくく再処理工程で厄介な作用をする白金族元素が多く含まれるため、極めて困難で、高浜1・2号の低燃焼度燃料を中心に高浜1~4号の使用済燃料を混ぜて再処理するつもりと推測されます。使用済MOX燃料10tに対して使用済ウラン燃料190tですので、使用済ウラン燃料で約20倍に薄めて再処理しやすくしたうえで再処理試験を実施するのでしょう。
それでも、白金族元素の挙動はその程度のことで解決できるかどうかは不明であり、試験結果を見る必要があります。その意味では、200tの仏輸出は使用済MOX燃料の再処理技術開発のためのものであることは明白であり、これを「中間貯蔵施設の立地点公表」と同程度のものと評価することはできません。
実際のところ、使用済MOX燃料の輸出・試験実施には、2020年代後半から10年以上かかると見込まれますから、このまま再稼動をすすめれば、2020年代後半にはすべてのプールが満杯になるという事態は避けられません。関電が「使用済み燃料プールが満杯にならない」方策を示さない限り、貴職への約束は果たされたことにはならないはずです。

 10万年先までの安全を保障できる確証などない!
さらにいえば、プールのひっ迫という根本的な矛盾の打開策とはならず、むしろ関電にとっての危機状況を回避できるわけでもありません。つまり原発を推進してゆくための方便にもならないのです。私たちの眼には、関電が、プールが満杯になるまでの、たとえ数年間だけでも運転をして稼ぎを得たいという打算のみで動いているとしか見えないのです。
かような関電の不誠実で姑息な姿勢に対し、県民・住民の生命と財産を守るべき立場の貴職は、約束通り高浜1・2号機、美浜3号機の運転を止めるよう求めるべきです。また、将来にわたる若狭の振興を真摯に論ずるつもりならば、10万年先までの安全を保障できる確証などないことを承知で、使用済み核燃料をこれ以上増やし続けるなど許されるべきことではありません。
 知事は、「行先のない核のゴミを増やさせない」毅然たる姿勢を!
貴職は、プールひっ迫の現状を前にして、「これ以上、原発を稼働させて行先のない核のゴミを増やしてはならない」との姿勢を毅然として示すべきです。

このまま関電の原発を稼働し続ければ、2050年代以降にすべての関電の原発が廃炉になった後、若狭には5,300~7,100㌧(関電の原発のみ、これに現在632㌧敦賀原発分が加わる)もの大量の使用済み核燃料が最終的に残されることになります。また、余剰プルトニウムの削減問題が足かせとなり、六ケ所村での再処理には制限がかけられる状況ですから、たとえフランスでの200㌧の再処理研究が成功したとしても、フランスで続けて使用済MOX燃料を再処理することにも制限がかかってきます。
 関電の約束は県民への約束! 県民への説明の場を!
関電の知事への約束は県民への約束でもあります。ましてや、若狭が、10万年先までの安全を誰も保証することのできない高レベル廃棄物・使用済み核燃料の最終処分地となる可能性が高まっている現在の状況ですから、県民一人一人を納得させるだけの説明が必要です。
貴職は「立地市町や県議会などの意見」のみを聞いて判断されるのではなく、行き場のない使用済み核燃料を生み出し続けることを容認されるおつもりなのであれば、その前に県民の意見を広く聞く場を設けるべきです。
上記の状況をご認識くださり、真摯なご対応をお願いいたします。
以上

2 Comments

  1. あと何年稼働可能か?今クローズアップされてきた問題、先駆けて注意喚起してきたさよなら原発の活動凄くないか?

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