東京五輪から続く、連続メダル死守を賭けた全日本女子バレー、運命の一戦。今ではあまり語られる事もないが、記録より記憶に残る大会。

0:00:00 第1セット
0:15:34 第2セット
0:31:47 第3セット
0:42:55 第4セット前半
0:51:26 第4セット後半
0:58:11 第5セット

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1986年の世界選手権で、史上最低の7位に沈んだ小島全日本。日本バレー協会は非常事態を宣言し、小島監督は辞任。世界三冠の山田重雄に再び、白羽の矢が立つ。その山田は「日本は弱くなった。力を貸してくれ」と愛弟子であり、結婚、引退していた丸山(江上)由美を現役復帰させ、東京五輪から続く、連続メダル死守を賭けて、臨んだ最後の世界大会。

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●苦難続きだった【ソウル五輪への道】

1986年11月 ロス五輪後、引退していた江上由美を復帰させ、中田ー江上でセンターのツーセッターを練習中、中田久美が右ひざを大怪我し、戦線離脱。1987年の全日本は江上セッター、大林ー広のセンター対角など、試行錯誤するも、新人だった高橋有紀子を正セッターに抜擢し、アジア選手権で韓国を破り、五輪切符を獲得。

中田久美は1987年、秋の国際大会で復帰するも、膝の状態は万全ではなく、状態は一進一退。その年の日本リーグは日立がソウル五輪を見据え、若手メンバー主体で臨んだ事もあり、元アメリカ代表でロス五輪銀メダリスト2名を助っ人外国人として擁した日本電気が優勝。日立が7連覇を逃した事で全日本の選手選考にも影響を及ぼす。

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前年の全日本で準レギュラー格だった小高笑子や宮島恵子らが外れ、日本電気の優勝に貢献した主力がメンバー入り。また神戸ユニバ(1985)で優勝した宗内監督がコーチに就任したことで神戸ユニバ組もメンバーに加えるなど、各方面に気を遣った人選が伺えるが、山田重雄が使いやすいメンバーだったかは疑問が残る。

また、課題だったレフトエースは17歳の斎藤真由美が国内リーグでの鮮烈な活躍が認められ、一次合宿では日立の主力+斎藤真由美を中心に練習を積んだが、斎藤が怪我で一時離脱すると、復帰後も調子が上がらず、エース杉山加代子の対角は混迷を極める。直前に益子直美や怪我から復帰した大谷佐知子(ロス五輪代表)を追加招集するなど、試行錯誤を重ねた。結局、前年から準レギュラーであり、連携に不安のない藤田幸子(日立)がスタメンに定着し、日電のエース佐藤伊知子がサポートする形に落ち着いたが、斎藤はソウル五輪直後に開催されたアジア・ジュニア選手権では怪我も癒え、大車輪の活躍。優勝に貢献し、MVPに選ばれるなど、メンバー入りしていれば、面白い存在になった可能性もあった。

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● ソウル五輪 スタメン表

中田久美:176㎝(305㎝) 22歳
大林素子:182㎝(312㎝) 21歳
廣紀江: 183㎝(310㎝) 23歳
丸山由美:175㎝(304㎝) 30歳
杉山加代子:180㎝(313㎝)26歳
藤田幸子:173㎝(305㎝) 20歳

サブメンバー
佐藤伊知子:169㎝(303㎝) 23歳

※氏名:身長(最高到達点) 年齢

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本大会では予選リーグで、ソ連、韓国に勝ち、2勝1敗の2位で準決勝進出。勝てば12年ぶりの決勝進出がかかった大一番、運命のペルー戦では序盤、予選で中国、アメリカ、ブラジルに3連勝の首位通過で勢いに乗るペルーに押され、簡単に2セットを落とすが、日本も第3セットから盛り返し、フルセットに持ち込む。

ファイナルセットは、10-5、12-9、13-12と常にリードを保ち、『あと2点』で決勝進出に迫りながら、※不利な判定が相次いだ事もあり、逆転負け。後に中田久美は「一瞬、金メダルと銀メダルが頭をよぎった」と振り返る。勝ち上がっていれば、決勝の相手は予選リーグで劇的な勝利をあげ、4連勝中だったソ連であり、生涯、追い求めてきた金メダルに最も近付いた瞬間であった

※前セット辺りから、ペルー陣営がホールディング判定に敏感になり、猛アピールした事で、判定に微妙な影響を与えた。第4セットの終盤はペルーが反則から崩れた事もあり、第5セットは帳尻を合わせるように日本に反則判定が相次いだ。試合の終盤に審判の介入で勝負が決してしまった側面もあり、日本では微妙な判定に批判が起こった。当時、流行していたタッチ攻撃とペルー選手の強引な押し込みは本来、区別されるべきプレーであり、改めて見ても、終盤はペルー側にも微妙なラフプレーが多く、その辺りは不公平感が残る。

なお、このペルー戦の試合中にはベン・ジョンソンのドーピング問題の会見で中継が中断されたり、昭和天皇の病状がニュース速報で入るなど、なかなか、慌ただしいものでした。

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