世界経済、通貨、基軸通貨、暗号通貨、経済の歴史、外交、外国為替、相場、貿易、半導体、予想、投資、軍事、戦争、一帯一路、不動産、デジタル人民元、IMF、GDPと多岐に渡って分析し、評価しました。
目次
1 ドル体制      0’12”
2 ドル体制の歴史    0’52”
3 ドル体制を維持するための、その他外交  3’15”
4 ドル体制の規模             8’18″  
5 まとめ                10’06”
6 最後に                11’18″ 

(1)ドル体制
ドル体制とは、国際通貨としてアメリカ合衆国ドルが基軸通貨として機能する体制のことです。
この体制は、第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制のもとで確立され、現在も世界経済の基盤を支えています。
ドル体制を維持するために、米国は常にドルの価値を安定させることを国是として振舞っています。
アメリカ合衆国はドルの供給量をコントロールし、インフレを抑制するなどの政策を実施してきました。
また、ドルの価値を維持するためには、ドルに対する信頼を高めることも重要です。
そのため、アメリカ合衆国は大統領が変わっても、常に軍事力や経済力によって、ドルの価値を守ってきました。

(2) ドル体制の歴史
1)ブレトンウッズ体制の確立(1944年~)
第二次世界大戦後、国際通貨体制の安定を図るために、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ソビエト連邦など44ヶ国が参加したブレトンウッズ会議が開催されました。
この会議で、ドルは金との交換レートが固定され、国際的な基軸通貨としての地位を確立しました。
他の通貨はドルに対して固定相場制を採用することになりました。
これにより、ドルは国際貿易や金融取引の決済に広く用いられるようになり、ドル体制の基礎が築かれました。
金兌換制度では、各国通貨からドルに換えれば、そのドルから金に換えることができたので、信用の裏打ちもありました。
2)ニクソン・ショック(1971年)
アメリカ合衆国のニクソン大統領は、ドルと金との交換レートを廃止するニクソン・ショックを発表しました。
これにより、ドルは変動相場制に移行しましたが、ドルは依然として国際的な基軸通貨としての地位を維持しました。
3)プラザ合意(1985年)
アメリカ合衆国の貿易赤字を縮小するために、アメリカ合衆国、日本、西ドイツ、イギリス、フランスの5か国が行った為替レート調整の合意です。
この合意により、ドルの対主要通貨の価値が下落し、アメリカ合衆国の貿易赤字が縮小し、ドルの国際的な過剰供給が是正されました。
これにより、ドル体制の安定化に寄与しました。
4)ベルリン・コンセンサス(1989年)
東西ドイツの統合を契機に、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、西ドイツの4ヶ国は、自由貿易、民営化、規制緩和を推進するベルリン・コンセンサスを形成しました。
このコンセンサスは、ドルの国際的な価値を維持するために重要な役割を果たしました。
5)中国のドル建て貿易決済の拡大(1994年~)
中国はドルと人民元の為替レートを固定する管理変動相場制を採用しています。
これは、中国の高度経済成長を支える事を主目的に、付随効果としてドルの国際的な価値を維持するために重要な役割を果たしました。
6)歴史まとめ
  米国は、過去からずっとドルを国際通貨とするため、主要国と合意を求めながら、軍事力や経済力の裏打ちを堅持し、
ドルの価値を守ってきました。

(3)ドル体制を維持するための、その他外交例等
1)ドルの強制的な使用と、制裁対象国へのドル使用制限
アメリカ合衆国は、軍事力や経済力などを背景に、ドルの使用を強制する外交を行っています。
例えば、アメリカ合衆国は、イラク戦争やアフガニスタン戦争において、ドル建ての占領軍支払いを実施しました。
また、アメリカ合衆国は、国際決済システムであるSWIFTを制裁の対象にすることで、対象国にドルの使用を制限しています。
制裁対象国は、イラン、北朝鮮、ロシア等があります。
2)ドルの国際的な認知度向上
アメリカ合衆国は、ドルの国際的な認知度を向上させるための外交を行っています。
例えば、アメリカ合衆国は、ドル建ての国際金融取引を促進するために、国際金融機関などの国際機関にドルの使用を促しています。
また、アメリカ合衆国は、ドル建ての投資や貿易を促進するために、外国政府や企業に対してドルの使用を奨励しています。
3)ドルの信頼性維持
アメリカ合衆国は、ドルの信頼性を維持するための外交を行っています。
例えば、アメリカ合衆国は、財政赤字の削減やインフレ率の抑制など、ドルの価値を維持するための経済政策を実施しています。
また、アメリカ合衆国は、ドルの国際的な使用を拡大することで、ドルの信頼性を高めようとしています。
4)貿易黒字国との外交交渉【ドル体制は維持したいが、日本からの輸入を少しでも抑える交渉】
①1969年:日米繊維交渉
   米国内に日本の繊維製品が氾濫し、米国の繊維産業を保護する目的で交渉を開始。
日本は繊維製品の米国への輸出量を制限することと引き換えに、米国から繊維製品の輸入制限を撤廃してもらいました。
   日本の繊維製品はその後も米国に輸出できただけでなく、世界最大の繊維輸出国になりました。
②1970年:日米半導体交渉
   日本からの半導体輸入が、米国の半導体産業に与える影響が大きいとのことで交渉開始
   日本は、米国への半導体輸出の自主規制として、半導体量の制限で対応。
③1980年:日米自動車交渉
   日本からの自動車輸入が、米国の自動車産業に与える影響が大きいとのことで交渉開始
   日本は、米国への自動車輸出の自主規制として、輸出台数の制限で対応。
5)GDPを世界一にすると明言する中国との交渉【ドル体制をも破壊する動きなので、第一段階はデカップリング、第二段階はデリスキングで、経済安全保障という立場で対応】
① 第一段階デカップリング
  中国と米国の経済的・技術的な依存関係を縮小していく政策です。
これは、中国の経済的・軍事的台頭を抑制し、米国の安全保障を強化するために実施されたものです。
 実施された政策
半導体などの先端技術の輸出規制
中国企業に対する投資制限
中国企業の米国市場からの排除
 結果
  中国側の反発を招きました。
米国経済にも一定の影響を与えた
② 第二段階デリスキング
  中国との経済的・技術的な依存関係を縮小しつつ、一定の経済的・技術的協力関係を維持していく
  実施された政策
中国への投資を制限しながら、特定の分野での協力を維持する
中国企業の米国市場からの排除を緩和する
『チップ4』つまり米国、日本、韓国、台湾の4か国が半導体のサプライチェーンの強化を目指して協力する枠組みで、
中国の最先端半導体製造に関して排除する意図がある
  狙う結果
   中国との経済的な相互依存関係を維持することで、中国の経済的・軍事的台頭を抑制しつつ、
米国の利益を守り、ドル体制の維持することを狙っています。
③中国側の対応と状況
中国はデジタル人民元を採用して、SWIFTドル体制からの脱却を図るが、そこまでの経済圏を確立できていないし、今後も確立できない状況である。
  一帯一路という中国中心政策を実行するが、債務の罠による海外利権獲得を優先するので、賛同国が減少するし、
今後の経済圏発展が見込めない
  反スパイ法を発効させ、海外企業が中国法人を維持する危険性を高めたので、海外企業の中国市場からの離脱を加速させている
  中国不動産産業がGDPの約半分を占めるだけでなく、不動産の構造的不況となったため、若者の失業率20%以上、
  少子高齢化が進んでいてその対策を打てていないので、近々インドにGDP2位を明け渡すことは確実
IMFも中国国内の事情分析で、
・不動産市場の不振が深刻化し、金融システムに悪影響を及ぼす。
・高齢化による労働力不足が深刻化し、経済成長の鈍化につながる。
・中国は世界最大の環境汚染国のため環境汚染対策が必然的に強化され、経済活動への制約が強まる。
これらにより、マイナス成長に陥る可能性を指摘している。
6)外交例等まとめ
 過去から現在に至るまでまとめると、米国外交は海外派遣してベトナム戦争、アフガン紛争では負けたこともあるが、
『ドル体制を守る戦い』には、常に勝利し続けている。
  このように、ドル体制は今後も維持される。

(4)ドル体制の規模
1)外貨準備高(2023年1月)
  ①世界全体:12兆ドル、②ドル建て:6.6兆ドル(55%)、③ユーロ建て:2.2兆ドル(18%)
  ④円建て:0.6兆ドル(5%)
2)外為市場取引額の通貨別シェア(2022年)
  ①米ドル(44%)、②ユーロ(15%)、③円(8%)、④英ポンド(7%)、⑤中国元(4%)
3)外為市場の取引通貨のペアの比率(2022年)
 ①米ドルとのペア(88.4%)、②ユーロとのペア【米ドルとユーロペアの22.7%を除いて】(7.8%)
  米ドルが如何に強いかを示すし、SWIFT制度の成果でもある。
4)外為取引額の地域別シェア(2022年)
 英国(シチー)38%、米国(ニューヨーク)19%、シンガポール9%、香港7%、日本4%、スイス4%、フランス2%、ドイツ2%、カナダ2%、中国2%
 英国はEU離脱したが、金融の牙城は守っていることが明らか。
 米国はきちんと2位を確保していて、アングロサクソンが世界の50%を占めていることも事実
5)参考:暗号通貨(2023年7月)流通額
  ビットコインで5,310億ドル、合計で約1兆ドル(全世界の外貨準備高の約8%相当)
  米ドルの流通通貨としての絶対的優位性と信頼性を表している。
6)参考:各国金準備高(重量t、ドル換算:2023年8月)
①米国(8,133.5t、229.3億ドル)、②ドイツ(3,391.2t、100.3億ドル)、③イタリア(2,451.8t、72.9億ドル)
  米ドルの流通通貨としての絶対的優位性と信頼性を表している。
(5)まとめ
ドルに関して体制と体制の歴史、体制を維持するための米外交史、そしてドル体制の規模を確認してきたが、
米ドルの基盤は盤石で今後もソフト、ハード含めた柔軟かつ狡猾な米国外交によりその地位は守られるよう
に考えられる。
米国よりも先んじる技術、マネジメント、ソフト等を勝ち取らないと互角には戦えない。
ただ、AI技術、宇宙開発のアルテメス計画等やっぱり最先端は常に米国あるいは米国中心である事も事実。
日本はまずモノづくり日本で、米国を怒らせずに先行するのが一番の得策か。
そして隠れた潜在力を高め、米国と互角に切磋琢磨する共存共栄路線が、世界を丸く収め、豊かに生きる最善の道かと。
一言、日本の潜在力を高めるのは他人ではなく、これを視聴していただいた、あなたです!
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