新型コロナの検査を早く、安く、実施できるとして普及している抗原検査。しかし、抗原検査では多くの陽性者を見逃し感染を広げてしまうおそれがあると、袋井市のクリニック医師が警鐘を鳴らしています。

 袋井市内のクリニックです。ここ数週間は、週に約50人ほどがPCR検査を受けに来ています。
<たなか循環器内科クリニック 田中総一郎医師>「(ここではPCR検査のみで、抗原検査はやっていない?)抗原検査は、感染していても陰性となる『見逃し』の可能性が大きいので、うちではやっていません」
 田中医師は2021年6月から、患者の同意を得たうえでクリニックでPCR検査を受け、陽性となった患者の検体のデータを記録してきました。田中医師が着目したのは「Ct値」と呼ばれるウイルス量の指標です。PCR検査で陽性判定が出るまでに検体のウイルスを何回コピーして増幅させたのか、その回数がCt値です。Ct値がゼロに近い、つまり増幅回数が少ないほど、ウイルス量が多く感染力も高いとされています。田中医師のクリニックでは平均はCt値が29前後で、43までが陽性となっています。これに対し、抗原検査では一定以上のウイルス量が無ければ陽性判定が出ません。東京大学医科学研究所の論文によると、国内で承認された抗原検査キットで確実に陽性と判断できるのはグラフの赤い部分、Ct値20.9までで、青い部分にあたるCt値27.6以上では、陽性判定が出ていないとしています。クリニックで検査した陽性者300人以上のうち、赤い部分に該当するのはわずか4.7%でした。
<たなか循環器内科クリニック 田中総一郎医師>「Ct値27まで含めても、全体の36.9%なんです。残り6割以上、これを抗原キットでは見逃してしまう可能性が大きい」
 田中医師は、多くの人が頻繁に検査する際には迅速な抗原検査も効果的だとしています。
<たなか循環器内科クリニック 田中総一郎医師>師「周りの人に感染させる状態にあっても、見逃される場合が少なからずあるというのを意識して使っていただきたい」
 一方、医療機関ではPCR検査を実施すべきだと主張します。
<たなか循環器内科クリニック 田中総一郎医師>「きちんと見逃さず診断をつける、これが発熱外来をやっている診療所の役割だと思います」

#おれんじ #オレンジ6 3月30日放送

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