政府は21日から新型コロナウイルスのワクチン接種を加速するため、職場での接種を始めようとしています。
総合商社の伊藤忠商事は、約7500人にワクチンの接種を行う予定です。社員だけの接種では、感染リスクを減らせません。そこで、社内にある保育園の保育士など、業務委託先の従業員も対象としました。

ただ、職場接種にも課題があります。政府は、医師や看護師を企業が自前で確保するよう求めています。
伊藤忠では、社内に診療所があって、産業医3人と看護師6人が常駐しています。それでも、約7500人の接種を行うには人手が足りないといいます。
伊藤忠商事人事・総務部の高橋佑平さん:「打ち手や問診する医師の確保にかなり苦労している。実際にワクチンの接種をすると、副反応が出たりも考えられるので、社内でどういうフォロー体制が取れるか考えていきたい」

そもそも、どのような手順を踏めば、職場接種を実施できるのでしょうか。まず企業は、いつ、何人がワクチンを打つといった接種計画などをまとめ、都道府県に提出します。都道府県は、企業が実際に存在することなどを確認したうえで、接種計画を厚生労働省に提出。その後、厚労省が計画に基づいて、保管用の冷凍庫やワクチン注射器を企業に送る手はずです。ただ、すべての企業で職場接種が始められるわけではありません。
“ワクチン接種”担当河野大臣:「とりあえずは1000人以上の大企業でスタートしたい。同一の会場で2回接種を完了して、最低1000人×2回接種だから、2000回。これを最低ラインにさせていただきたい」

池袋のサンシャイン60に本社を構えるセゾン自動車火災保険は、職場接種への対応を前向きに検討していました。本社で働く従業員は、約800人。政府が示した1000人には足りませんが準備を進めることにしました。
セゾン自動車火災保険・佐久間聡人事総務部長:「順番が回ってきたときに打ち手がいないということをなくしたい。できる限りのことはやっていきたい」
産業医(嘱託)・鈴木健太医師:「御社は保健師が社内にいることが心強い」

セゾン自動車火災保険がアドバイスを求めた鈴木医師は、非常勤の産業医で、社員の病気を予防するための健康管理などを行っています。その多くは病院に勤務しながら1人で複数の企業を担当するといいます。

産業医(嘱託)・鈴木健太医師:「産業医は中小企業だと、月1回ぐらいしか来ない。普段は病院や開業医がメイン。まず時間が取れない。看護師は五輪の話でもあったように、いまは現場で疲弊しているので、さらに企業に来てっていう人は確保できない」

鈴木医師が産業医を担当しているもう一つの企業『プレステージプランニング』の従業員は53人。マンションなどの内装工事を請け負う会社です

産業医(嘱託)・鈴木健太医師:「予算の問題。どこが金を出してくれるのか。あと場所の問題。会社にスペースがあるのか。なければ複数の会社で一緒にやるのか。商工会議所に相談して、接種会場を取ってもらう。それも費用の問題が発生する」

政府は、中小企業について、商工会議所が取りまとめ、共同で接種する方針を示していますが、詳細はまだ何も決まっていません。
プレステージプランニング・坂本誠憲執行役員:「当社のような中小企業では、1人当たりの貢献度が高い。1人が欠けると、経営に対するダメージが大会社に比べて高い。一斉に従業員、打ってしまって、みんなが副反応ということでは困る。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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