ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、北欧・フィンランドなどがNATO(北大西洋条約機構)への加盟に向けて動き出しました。ロシアの思惑とは完全に逆行する形で、既にロシアは強く反発しています。「ロシア『首都キーウ(キエフ)攻撃』警告」、「ロシア軍の車両がフィンランド国境にも…」、「“北欧2国”NATO加盟?」、「ロシアの大失態?」の4つのポイントについて、詳しく解説します。
■ロシア軍ミサイルシステム、フィンランドとの国境に向け移動か
ウクライナの状況について、ウクライナ第2の都市・ハルキウ(ハリコフ)の市長は、「ロシアによる爆撃が12日から急激に増加していて、子どもの死者を含む犠牲者が出ている」と報告しています。

また、近郊からロシア軍が撤退した首都・キーウでは、土のうやバリケードが残る中、少しずつ店舗が再開するなど、日常が戻りつつあります。ただ、ロシア国防省は「ウクライナ軍が、ロシア国内で破壊活動をしようとしている」と批判しました。また、「こうした行為が続けば、キーウ中枢部を攻撃する」と警告しました。

イギリスの複数メディアは、「ロシア軍が隣国・フィンランドとの国境に向けて、軍事車両などを移動している」と報じました。「ロシア軍のミサイルシステム2基などがロシア国内の道路を移動し、フィンランドとの国境などに向かっている」と伝えています。

■NATO加盟申請「数週間で結論」 フィンランド首相
実は、フィンランドを巡り、動きがありました。フィンランドのマリン首相は13日、訪問先のストックホルムでスウェーデンのアンデション首相と共同会見を行い、NATO加盟を申請するかどうか検討を急ぐ考えを示しました。

フィンランド マリン首相
「ロシアのあらゆる行動に、備えなければなりません。(NATO加盟を)早急に検討し、数週間以内に判断したい」

フィンランドは、これまでも「NATO加盟を検討する」と表明していましたが、マリン首相は「数週間で結論を出す」と述べました。

■フィンランド“危機感“「NATOの集団防衛以外に、安全を保証する手段はない」
フィンランドは、ロシアと1300キロにわたり国境を接していて、1917年にロシアから独立しました。これまで、隣国・スウェーデンと共に「軍事的中立」を掲げ、NATOに加盟しないスタンスを維持しました。

ただ、フィンランドのマリン首相は、今回のウクライナ侵攻で「全てが変わった」として、「NATOの集団防衛以外に、安全を保証する手段はない」と危機感を強めています。フィンランドは、これまで当時のソ連と戦争をしてきた歴史があり、実際、人々は長い間、ロシアの脅威を感じながら暮らしてきました。

フィンランドの首都・ヘルシンキにある地下鉄の駅では、天井を見ると、鉄板で衝撃に耐えられるよう補強されています。実はこの駅は、ロシアからの攻撃を想定し、有事の際はシェルターとして使われます。他には、普段はプールや体育館などとして使う施設も、いざという時には、地下シェルターとして使えるようにしっかり備えています。

ウクライナの惨状を目の当たりにしたフィンランド国民の意識は、大きく変わっているとみられます。フィンランドの民間調査会社「eva」によると、「NATO加盟に賛成」と答えた人は、ウクライナ侵攻前の2021年は26%ほどでした。しかし、侵攻後の2022年3月には60%に増し、国民自身の危機感も相当に高まっていることが読み取れます。

■「70年以上保ってきた国際的な安全保障の枠組みが変わる」指摘も
フィンランドとスウェーデンがNATO加盟にかじを切ったことは、「歴史的にも非常に大きな転換点」だということです。

国際安全保障が専門の慶応義塾大学・鶴岡路人准教授は「第二次世界大戦後、75年以上保ってきた国際的な安全保障の枠組みが変わる」と指摘しています。

冷戦後、フィンランドとスウェーデンは、経済・政治の枠組みであるEU(欧州連合)に加盟していました。ただ、軍事的には、西側でもロシア側でもない「中立国」という立場を保ってきました。

今回、両国がNATOに加盟することになれば、中立的な立場の国がなくなってしまうことになります。NATO側にとって、この2か国の加盟はプラスなことなので、申請をすれば、「比較的、すぐに入れるのではないか」とみられています。

一方、ウクライナは、ロシアとの紛争を抱えていたため、NATO加盟には、高い壁がありました。ただ、フィンランドとスウェーデンは、NATOとの防衛協力の歴史も長く、軍事訓練なども行った経緯があります。さらに、「自由」や「民主主義」といった西側諸国の価値観も共有しているということなので、後は手続き上の問題だけとみられています。

■ロシア「オウンゴール」 “NATO拡大阻止”のはずが…
ロイター通信によると、ロシアのペスコフ大統領報道官は、両国がNATOに加盟すれば、「ヨーロッパに安定をもたらさない」と既にけん制しています。

また、ロシアのタス通信によると、フィンランドとスウェーデン両首相の会見を受けて、ロシア外務省のザハロワ報道官も「『ロシアが脅威』という発言は、事実に基づいておらず、NATOに有利なプロパガンダと挑発だ」と強く反発しました。

鶴岡氏は「ロシアはNATO拡大を止めるために、ウクライナを侵攻した。逆に、NATO加盟国が増加しそうな状況になっている。これは、ロシアの『オウンゴール』としか言いようがない。さすがに、この事態はロシアも予想していなかったはずで、『今回はロシアの大失態、誤算だった』と言えるのではないか」と分析しています。

      ◇

ウクライナで苦戦しているロシアが、実際に今、フィンランドなどに攻め入るとは考えづらいとみられていますが、既に、国際秩序は大きく変わり始めています。ロシアにとって、自らの誤算が招いた代償は高くつきそうです。
(2022年4月14日放送「news every.」より)

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29 Comments

  1. ウクライナ侵攻は「NATOが攻めてきたから」と言うが、プーチンの妄想か侵攻する為の妄言で、NATOの理念が「ロシアが軍事侵攻した時に対抗する為の集団的自衛権行使の組織」で有って、ロシア側から軍事侵攻をしなければ何も起こらない

    民主主義を「多数決で何でも決める、数の暴力」、「なかなか意思決定が出来ない欠陥的政治手法」と言う人もいて、当たらずしも遠からずですが、少なくとも共産主義、全体主義の集団独裁や、ロシア、中国の様な集団独裁から個人独裁にもっと悪い方へ流れた国よりは真面だと思いますが

  2. ロシアがウクライナの反撃を批判するって、おかしいよね⁉️もとは、ロシアがウクライナに軍事侵攻したからでしょ‼️いい加減にして欲しい❗そのことを、ロシアの国民は、認識しているのでしょうか⁉️

  3. どっかの検討使と違うのは、ほんとうに検討したの後に判断をするとこ

  4. フィンランドの正しい判断、侵略国家ロシアを排除しよう

  5. プーチンは、凶暴、野獣、ロシア大聖教は、野獣を擁護かな?

  6. 日本もロシアの隣の国なんですよ。対岸の火事と思わずに、日本もロシアとのつきあい方を考え直す時期にきてますね。 それに、日本は47や北朝鮮、韓国等とも、領土問題や拉致問題抱えているんだから、世界で一番危険な場所じゃないですか。

  7. ロシアはフィンランドとスウェーデンをコード・レッド、レベル4でロックオンいたしました。

  8. これで中立地帯が無くなってポーランド分割の再現してる。次は第三次かね

  9. フィンランドはロシアにひどいめにあっている。70年ほど前にロシアとの戦争で国土の一部を失った。ウクライナの惨状を見て、もう同じ轍は踏まないと思ったのだろう。日本も北方領土を失った。他人事ではない。

  10. ロシアが、キーウイ攻撃を正当化するための布石として、ウクライナによる破壊活動を宣伝している。と言ったほうが分かりやすい。

  11. ロシアのプーチンは、ウクライナに侵攻しないと約束をしたが、まだ口が渇かないうちに侵攻した。
    プーチンは全身嘘の塊だ。
    結果、年寄り 女性 子供達までも処刑虐殺した。
    今後、プーチンが何を言ってもそれを真に受ける人など世界にいない。

  12. アメリカが、逃げ越しやから、この戦争が始まった。
    バイデンの弱腰です。
    私は日本人です。
    これからわ軍事も備えて国を守らなければと思います。

  13. これがあるべき未来だよ、ロシア解体しなきゃ。

  14. ロシアはウクライナがNATOに加盟する前に全方位に土下座しながらNATOに加盟申請した方がいい

  15. 2003年3月20日にイラク戦争が開始されてから10年がたつが未だこの戦争の過ちについて十分な総括が国際的になされていない。

    イラク戦争は、国連安保理の許可を得ない武力行使であり、明らかに国連憲章違反であったし、その理由とする「大量破壊兵器」は存在しなかった。この誤った戦争により、イラクはあまりにも壊滅的な打撃を受け、人命を奪われた。

    アメリカ、ジョンホプキンズ大学ブルームバーグ公共衛生大学院の研究では、2003年のイラク戦争の結果として約65万5千人のイラク人が死亡したと推定、WHOはイラクで2003年3月から2006年6月までに15万1千人が暴力によって死亡したと推定している。

    米軍との戦闘で命を奪われた人だけではなく、占領後の宗派間対立の激化で多くの人が死亡したわけであるが、戦争が起きなければこれだけの犠牲がなかったことは明らかである。

    しかし、これだけ人命を犠牲にしたのに、米国では誤った戦争に関する公的な謝罪や検証は全く行われていない。

    特に、私が人権の観点から許せないのは、米軍・英軍が直接かかわった人権侵害行為の責任がほとんど問われていないことだ。

    例えば、2004年4月と11月の米軍によるファルージャ総攻撃では、戦争犯罪に該当する「民間人攻撃」が行われたとされ、多数の民間人が殺害されたという。白リン弾や劣化ウラン弾等残虐兵器が民間人の居住地で、市民に対する危害を最小限に抑える手段を一切講ずることな大量に使われ、おびただしい死者が出た。

    白リン弾使用については、イタリアのドキュメンタリーでその残虐性、極めて残酷で深刻な被害が暴露されている。アメリカ軍がアブグレイブやその他の刑務所で、拷問・非人道的取り扱いに該当する身体的虐待や侮辱などの行為をイラク人拘留者に対して行ったことは多くの証拠に裏付けられている。

    こうした行為は何より戦争犯罪の可能性が高いが、きちんとした調査は行われず、ほとんど誰も責任を問われていない。訴追されるのは少数の末端の兵士だけ。意思決定に関わったトップレベルの人々、ブッシュ元大統領やラムズフェルド元国防長官、拷問を正当化した司法省、国防省関係者等の責任は全く問われていない。

    超大国が大規模かつ残虐な人権侵害をして幾多の罪もない人を殺害しても誰も責任を問われない、そのようなことでは、大国の都合でおびただしい虐殺が今後も果てしなく繰り返されるだろう。罪もない多数の犠牲者のことを考えると怒りしかない。

    イギリスにはイラク戦争検証委員会が設置され、調査が続いてきたが、未だに最終報告は出されておらず、検証は長引いている。アメリカに至っては全く検証・独立調査委員会設置の機運すらない。

    米国連邦不法行為法は、海外で行われた不法行為、戦争行為で生じた被害については国家の賠償責任を免除するという規定を置いており、米国は海外で行った戦争行為によりいかなる被害を個人に生じさせても
     
    Y!ニュースより

  16. 皮肉なことに、この侵攻でロシアの近隣諸国は危機感を覚え、NATOに加わりたいと思うようになってるんだよなぁ
    その結果がフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請なんだよな
    だからすべてロシアの自業自得

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