フジテレビジョンは5日、江東区青海の湾岸スタジオにAI活用の実験場「AI Sandbox」を設置し、実写ドラマ番組制作における生成AIの活用を進めていると発表した。制作手法の1つとして生成AIを取り入れ、従来の撮影条件では難しかった表現に取り組むとともに、現場の負担軽減や安全性の向上を図る。
AI Sandboxは、ドラマや映画の制作に携わる第1スタジオをはじめ、テックアートデザイン局、AI関連企業のANDENTなどからなるプロジェクトチームが9月より運用を開始している。現場ではドラマ制作に従事するディレクターやプロデューサー、技術スタッフが外部のAIプロデューサーやAIデザイナーとともに実際の制作を通じて生成AIの活用方法を検証中だという。発表においては一部の映像制作工程で生成AIを活用した場合、従来の手法と比べて作業工数を最大で70~80%削減できることが確認できたと報告している。
活用例としては、2026年10月より月9ドラマとして放送中の「救命病棟24時」第6シリーズの第1話において、爆発事故の空撮映像をAI Sandboxが作成した。ここでは空撮映像の風景をAIが生成し、その上に煙を合成したという。
具体的な流れとしては、監督が思い描く映像を生成AIで可視化し、制作・技術スタッフに共有。作品のクオリティを最優先に撮影方法を検討し、従来の映像制作技術やVFXなどと併せて生成AIも使い分けている。このほか医療シーンの細かな映像処理や、実際の撮影だけでは実現が難しい事故現場の表現などで生成AIを活用しているとした。
フジテレビでは今後毎クール1本以上のドラマを「AI強化枠」に設定し、AI Sandboxによる実際の作品制作に挑戦するとしている。制作を通じて経験や知見を蓄積・共有し、活用の幅を広げていく意向。2027年10月をめどに、フジテレビが制作するすべてのドラマで、適切なシーンにAIを活用できる体制を整える展望を明らかにしている。また2029年度までにはフジ・メディア・ホールディングスの映像関連企業にも取り組みを展開し、国内トップベンダーレベルのAI活用機能の保有を目指す。
国内ドラマ制作における生成AIの活用は、TBSの「VIVANT」でGoogleの「Veo 3」を採用するなどの形で取り組みが始まっている。




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