
Amazon Prime Videoは8月、トルコの制作会社Ay YapımのAI子会社による2話構成のドラマ『キャッスル・ウォールズ(Castle Walls)』の世界同時配信を開始。同作は「世界的な大手ストリーミングサービスで配信される、AIによって最初から最後まで制作された初の番組」として注目を集めた(ただし、制作会社によると「演技はAIで生成していない」)。
こうした中、ハリウッド業界メディア「The Ankler」は「AIは現在、2つの入り口から浸透しつつある」と分析。表の入り口では、Prime Videoのように、AIが制作ツールの選択肢から、目玉作品として表舞台に移りつつある。裏の入り口、つまりベン・アフレックとNetflixが辿っているルートでは、目に見えないワークフローの中に定着しつつある。3つ目の道は資金調達を通るもので、現在制作中のアントニオ・バンデラス主演の映画『コルテス』は、AIを活用すれば、高予算に見える映画を低コストで制作できると賭けている。
かつてハリウッドとAIの間には、ある種の明確な取り決めがあり、AIは映画制作を手助けすることはできても、映画そのものを生み出すことは許されなかった。技術的な未熟さだけでなく、法的権利や雇用の問題なども依然として残る中、このあまりにも魅力的なビジネスチャンスに、著名な人材や老舗の制作会社、大手配給会社が名を連ねるAIプロジェクトが次々と登場している。
Amazonは10月、Ay Yapım制作の実写ドラマ『Çukur』のAI生成スピンオフ映画の権利も取得した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「「全編AI制作のドラマ」は、ついに世界配信まで来てしまった。Amazonでは以前、著名監督ホルヘ・R・グティエレス氏のAI生成アニメ『Punky Duck』が猛批判を浴びて頓挫している。では『キャッスル・ウォールズ』はなぜ実現したのか。一つは作り手側に創作上の必然があったことだ。題材は中世イランのアラムート城の歴史劇。巨大な城塞と時代考証が要る大作は、実写ならトルコの制作費では届かない画であり、AIは「予算で諦めてきた物語」を解禁する道具だった。しかも脚本は人間の脚本家が書き、手描きのスケッチから出発し、映像モデルは自社が権利を持つ素材だけで学習させるなど、批判への備えも織り込んだ。もう一つは出し方だ。ハリウッドの視線の外で静かに完成させ、完成品として見せた。発表して燃えた前者と、作ってから見せた後者。AI作品の成否は技術より、作る理由と出し方で決まりつつある。」

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