
一日の終わりにストレスを解消したいとき、あなたは何に手を伸ばしますか。ついお酒に手を出してしまう人も多いのでは(僕)。
ところが英国の調査では、気持ちを慰めたいときに本に頼る人が35%で、ワイン(31%)や熱い風呂(10%)を上回りました。別の調査では、フィクションをわずか5分読むだけでストレスが最大20%減ったとも報告されています。本当に?
英国では「ストレス解消は読書」が最多。ワインや入浴を上回る調査も
ケンブリッジ大学の発表によると、英国の成人の38%(5人に2人弱)が、ストレス解消の方法として本を選んでいます。読書は、最も人気のあるストレス解消法になっているそうです*1。
別の調査では、気持ちを慰めたいときに本に頼る人が35%で、ワイン(31%)や熱い風呂(10%)より多い結果でした*1。差は小さいものの、本がお酒や入浴と並ぶ息抜きの選択肢になっていることがうかがえます。
気持ちを慰めたいときに頼るもの
本35%
ワイン31%
熱い風呂10%
5分の小説でストレス最大20%減
まずは今夜、寝る前のたった5分だけでいいです。好きな小説を開いてみましょう。
カミラ王妃が設立した慈善団体The Queen’s Reading Roomが2024年に委託した神経科学的な調査では、フィクションをわずか5分読むだけでストレスが最大20%減り、集中力や問題解決能力の向上、孤独感の軽減にもつながったと報告されています*1。
本を読む時間なんてない、という人も多いでしょう。でも寝る前の布団の中でいい。スマホを見ちゃうのも分かりますが、あえて5分だけ、本を開くのです。
ただし、この調査は、専門家の審査(査読)を経た学術論文ではなく、慈善団体が独自に委託したものです。この後紹介する学術的な研究とは、少し分けて捉えるのがフェアでしょう。
ケンブリッジ大学のレビュー論文が示す、読書と脳の関係
読書とストレス・脳の関係については、学術的な裏付けも少しずつ増えています。ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授らが2026年9月15日、学術誌『Psychological Medicine』に発表したレビュー論文で、これまでの複数の研究を整理しました*2。
脳の画像研究では、一部の脳の体積や神経線維のつながりの強さが、読書習慣と関連していることが示されています。
読書は単に知識を得る行為であるだけでなく、脳そのものの状態と結びついている可能性がある、ということです。
なお、このレビュー論文の共著者には、先ほどの20%の調査を委託したThe Queen’s Reading Roomの代表、ヴィッキー・ペリン氏も含まれています。この点も踏まえて読むとよいでしょう。
実家の親や祖父母に、こうすすめてみるのもいい
このレビュー論文が整理している研究の中には、読者の少し上の世代、親や祖父母に伝えたくなるものもあります。
簡単に言うと、読書を頻繁に行っていた人ほど、認知機能の低下が有意に少なかったとそうです*3。新聞や雑誌、書籍を読む習慣とアルツハイマー病リスクの33%低下との関連を報告した研究もあります*4。
実家に帰る機会があれば、好きそうな本を1冊持って帰ってみるのはどうでしょうか。読書会や、孫と一緒に読み聞かせをする時間も選択肢のひとつです。
もちろん、これは「読書をすれば認知症を防げる」という話ではありません。あくまでも相関性あるというだけですので勧めるときは要注意です。
※本記事は研究の紹介であり、医療上の助言ではありません。

何を読めばいい? ジャンルより「楽しめるか」
研究者たちが強調するのは、何をどう読むかは問わない、という点です。古典でもラノベでも構いません。
文豪の書いた名作である必要はありませんし(好きならもちろん選んでもいい)、大切なのは、心から楽しめるものを見つけることです。
そういえば最近小説読んでないなーというあなたにこそ、トライしてほしいです。
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この研究を紹介しているBBCの記事では「読書で幸福感が増す可能性がある」と言っていますが、「読書をすれば幸せになれる」とまでは言い切れないとは思います。
それでも、ストレスや孤独感が軽減される可能性があるのであれば、試してみて悪いことはないでしょう。
なんたって、小説は楽しいですしね。ワインじゃなくて、まず5分だけ本を。実家に帰る際には、手土産に本を1冊、追加してみてもいいかもしれません。
Q. 読書でストレスが減るというのは本当ですか?
英国の慈善団体The Queen’s Reading Roomが2024年に委託した神経科学的な調査では、フィクションを5分読むだけでストレスが最大20%減少したと報告されています。ただしこれは査読付きの学術論文ではなく、慈善団体が独自に委託した調査である点には留意が必要です。
Q. ワインや入浴より読書を選ぶ人は多いのですか?
英国のある調査では、気持ちを慰めたいときに本に頼る人が35%で、ワイン(31%)や熱い風呂(10%)を上回りました。別の調査では、英国の成人の38%がストレス解消の方法として本を選んでいます。
Q. どんな本を読んでも効果は期待できますか?
研究者たちは、何をどう読むかは問わないとしています。古典でもグラフィックノベルでも構わず、心から楽しめるものを選ぶことが重要とされています。
Q. 一人で読むより、誰かと読むほうがよいのでしょうか?
研究者らは、読書会や親子での読み聞かせなど「誰かと読む」体験は、さらに大きな恩恵をもたらしうるとしています。一人で読むだけでも意味はありますが、誰かと読む時間を候補に入れるのもおすすめです。
Q. 読書は認知症の予防になりますか?
読書習慣と認知機能低下の少なさ、アルツハイマー病リスクの低下を関連づける研究は報告されています。ただし、多くは相関関係を示すものであり、読書が認知症を予防するという因果関係が証明されたわけではありません。
(参考)
*1: University of Cambridge|Reading for pleasure – and for better health
*2: Sahakian, B.J., Perrin, V., & Langley, C. (2026), Psychological Medicine, 56, e262|Reading and associations with brain health, cognition, well-being, and mental health
*3: Krafnick, A.J., Flowers, D.L., Napoliello, E.M., & Eden, G.F. (2011), NeuroImage, 57(3), pp.733-741|Gray matter volume changes following reading intervention in dyslexic children
*4: Wang, J., et al. (2006), Neurology, 66(6), pp.911-913|Leisure activity and risk of cognitive impairment: The Chongqing aging study
*5: Wilson, R.S., et al. (2002), JAMA, 287(6), pp.742-748|Participation in cognitively stimulating activities and risk of incident Alzheimer disease
【ライタープロフィール】
蔵前直樹
ライター・編集者。書く仕事、デザイン、プランニング、時々農業、狩猟。デザイナー→カメラマン→ライター→編集者と転身してきた「多芸は無芸」「器用貧乏」を地で行くタイプ。STUDY HACKERで仕事を始めてから、全然関係のないフィナンシャルプランナー2級を取ろうと考えているあたり、全然懲りてない。

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