T 最初から相手を狭い箱の中に入れてしまうと、その人の可能性を潰してしまいます。デモをミックステープのようにまとめて渡して、全部聴いてもらう。そのなかで何かがその人に引っかかれば、そこからインスピレーションが生まれる。
V 決まった方法論はありません。コラボレーションは一つひとつ、まったく別のものだから。それは、人と会話するのと同じです。声が大きい人もいれば、静かな人もいる。ずっとしゃべる人もいれば、沈黙する人もいる。コミュニケーションのかたちは、その相手によって変わるんです。
──そうやってスタジオで「プロダクション主導」で組み立てた音楽を、ライブでは演奏用にもう一度再構築する必要がありますよね。
T そうですね。レコードが完成したら、今度はそれを解体してライブようにつくり直さないといけない。例えばレコードではギターを3本重ねていても、ライブでは3本同時に弾けないですから。だから一部をサンプラーに入れたり、そのパート自体を削ったりします。
スタジオではすごく気に入っている曲なのにライブでは機能しないこともあるし、逆にライブで膨らませるとすごくよくなる曲もあります。そこで初めて、ぼくたちは同じ部屋に集まって演奏する必要が出てくるんです。
V ライブになると必要なエネルギーがまったく違います。空間そのものが、もうひとつの楽器になる。スタジオならPro Tools上で何かを取り除いて、また出現させることができます。でもライブでは、観客を一度消して、また出現させるなんてできない(笑)。
会場は毎回違うから、曲の届け方も毎回変わる。曲をその空間で生きたものにするのは、楽しくも難しいプロセスです。
PHOTOGRAPH:YUICHIRO NODA
アルゴリズムでは発見できない
──みなさんレコード収集がお好きですよね。一方で、いまはストリーミングサービスのレコメンドが音楽との出合いに大きな役割を果たしています。アルゴリズムについて、どんなふうに考えていますか?
J アルゴリズムは、自分がすでに聴いたものを分析して、それに似たものを見つけることに関しては優秀だと思います。
でもぼくたちにとって音楽を「発見する」というのは、自分がすでに好きなものと似たものを見つけることではありません。ぼくたちは、一緒に旅行すると必ずレコードショップに行くんですが、そこでやりたいのは、自分の知らないものを見つけることです。
もちろん、誰もが毎日音楽を探したいわけではないし、そこまで時間や集中力を使いたいわけでもない。それは理解しています。ただぼくたちは「発見」があるから音楽にのめり込んだんです。
自分で世界に出ていって何かを発見すると、その音楽との間には特別な結びつきが生まれる。「これは自分のものだ」という感覚になる。ぼくは14歳のころからレコードを買っていますが、当時買ったレコードに対して、いまでも同じような気持ちを抱いています。それは自分で発見したものだからだと思います。
V わたしはそれに加えて、コレクターとして「オリジナル盤を見つける」ようなことにも興奮を覚えます。


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