写真・堤博之
初めて出演したドキュメンタリー映画『襲名』が、イタリアのベネチア国際映画祭にまねかれた。父の團十郎さんとレッドカーペットを歩き、映画の上映後は拍手が5分間鳴りやまなかったという。
現地で感想を求められると「自分のことなので、見ていてはずかしくて。父とも『ほんとにはずかしかったね』と言い合いながら、おたがい汗がドバドバでした」と笑った。

左から三池崇史監督、市川團十郎さん、新之助さん=9月3日、イタリア ⒸKazuko Wakayama
400年以上続くおしばいの歌舞伎には、俳優の名を代々受けつぐ「襲名」というしきたりがある。小学4年生だった2022年、父が十三代目市川團十郎白猿を襲名。このとき自分も舞台での名を、本名の堀越勸玄から八代目市川新之助に改めた。映画では、2人の襲名までの日々を追っている。

映画『襲名』から 🄫2026 K2 Pictures・3Top
「むかしは本当に楽しくてやっていたけれど、名跡(新之助の名)を背負うことによってプレッシャーも大きくなって緊張するようになった。襲名の舞台が終わって『これからがんばらないと』という気持ちがいっそう強まりました」

映画『襲名』から 🄫2026 K2 Pictures・3Top
完成した映画を見て「1回泣いた」と打ち明ける。17年6月、母の小林麻央さんが病気で亡くなり、父が記者会見をした場面だ。「まだ小さかったので覚えていないけれど、いまも6月になると悲しい気持ちになります」。母には「元気でいるよ」と伝えたい。父のことは「いつも私たちを守ってくれる」と尊敬する。

映画『襲名』から 🄫2026 K2 Pictures・3Top
襲名から4年近くがたち、中学2年生になった。「新之助さん」と呼ばれることに「最初はすごく違和感があったけれど、もう慣れました」という。「自分の体になじんだ感じですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきた。
「それはわからないけれど、がんばります。そうなれるように」
映画『襲名』
9月25日公開

©2026 K2 Pictures・3Top
市川團十郎という名は、江戸歌舞伎の中心として300年以上受けつがれてきた。2019年に親子同時襲名が発表されたが、20年のコロナ禍で延期。22年に実現するまでを中心にとらえたドキュメンタリー。監督は三池崇史さん。第83回ベネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に選ばれた。

写真・堤博之
2013年3月22日生まれ、東京都出身。15年11月、東京・歌舞伎座の『江戸花成田面影(えどのはななりたのおもかげ)』で、初めて舞台にあがる「初お目見え」を果たす。22年11月に歌舞伎座の『外郎売(ういろううり)』で、八代目市川新之助を名乗り初舞台。姉は日本舞踊家の四代目市川ぼたんさん。
(別府薫)
(朝日小学生新聞2026年9月11日付)

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