ヨミドクターでコラム「心臓外科医・南淵明宏のI❤️外科」を連載している南淵さんが、命を扱うプレッシャーに向き合ってきた経験を通して身につけた心の持ち方を紹介した本「外科医が教える心の置き方 メタ認知のススメ」(双葉社、税込み1980円)を出版しました。少し違う角度から物事を見ることで、困難を乗り越え、気持ちを前に向かわせる方法を紹介しています。
命がかかる手術で冷静でいるために必要なこと
南淵さんは、1万件以上の心臓外科手術を執刀してきた有数の外科医の一人。手術には大小のトラブルはつきものですが、乗り切るためには、どんな状況でも冷静さを保つことが必要だと言います。そのために有用なのが、メタ認知。メタ認知とは、「自分の置かれた状況を、少し離れたところから、冷静に偏見を排除して観察する姿勢」としています。
例えば、会議。日本の会議の多くは、参加者の顔色をうかがい、「部長はどう思っているだろう」「あの人は反対だから自分の意見は控えよう」と考えがちです。場の調和を保つ知恵のようですが、これは個人がメタ認知を放棄して場に委ねているだけ。メタ認知ができていれば、「この会議室の力学はこうだから、自分の意見はこのタイミングで」というところまで読み切り、一歩前に出て行動できる、と言います。
手術や死さえも前向きにとらえることができる
心臓手術を受けるとなれば、誰でも不安になります。ところが、少し 俯瞰(ふかん) した視点でとらえて「新しい世界を見にいくアドベンチャー」と前向きにとらえる患者さんがいたそうです。そうなると手術は「冒険」。死ですら、自分の人生の新しい局面と考える方も。
人生の長く暗いトンネルは一段成長した自分に出会うためのプロセス。学歴、身体的な特徴、家庭環境など「不遇」と受け止めてきた条件も、メタ認知によって逆転の芽がある。失敗や後悔を前向きな物語として書き換えること……。
メタ認知によって、自分自身への見方を切り替える具体例が次々と出てきます。外科医としてこうして心を整えて手術に向き合ってきたと理解できます。また、私たちも、こんな超前向き思考をひとつの技術として身につけられたら、新しい人生が開けるのではないかと思わせる提案の書です。
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