ミュージシャンや配信サービス、レコード会社は長年、音楽生成AIサービスがAIツール構築のために、人間が制作した膨大な数の楽曲を利用していると主張してきた。そして今回、音楽生成AIを提供するSunoがどのようにして音楽を生成してきたのか、その実態が明らかになった。

 404 Mediaが米国時間7月15日に報じたところによると、Sunoのソースコード流出により、同社が「YouTube Music」や「Deezer」、「Genius」、ストック音楽ライブラリなどのプラットフォームから大量の音楽や歌詞をスクレイピングしてAIを学習させていたことが判明したという。

 ellie.191と名乗るハッカーは、2025年11月にサプライチェーン攻撃を実行した。404 Mediaに提供されたスクリーンショットと情報により、2023年と2024年における同社の学習データの出所のいくつかが確認されている。

 あるファイルによると、最後に開かれた時点で、「youtube_music」というフォルダに200万以上の動画が存在していたという。他のファイルには、Genius HQから1万7000時間以上、ストリーミングサービスのDeezerから1万2000時間以上、Shutterstockが所有するストック音楽サイト「Pond5」から6万2000時間以上の音楽が含まれていた。404 Mediaの報道によると、ハッカーはSunoの決済ベンダーであるStripeが保管する顧客記録や支払い情報にもアクセスできたという。

 Sunoの広報担当者は米CNETに対し、同社は直ちに侵害を調査し、「主にSunoではすでに使用されていない古いソースコードが関与しており、機密性の高い個人情報が危険にさらされた事実はない」ことを確認したと述べた。同社はまた、顧客のクレジットカード番号全体へのアクセス権を持っていることを否定し、現在のプライバシー法の下では個々のユーザーに通知する必要はないと結論付けている。

AI生成音楽の実態を暴く

 テキストメッセージのやり取りから曲を作るという新たなトレンドに伴い、ソーシャルメディア上でSunoが生成したAI楽曲を耳にしたことがあるかもしれない。Sunoのようなサイトが人気を集める中、それらがどのように運営されているかを知ることは重要だ。

 ハッキングで流出したソースコードはすでに使われていないが、テクノロジー企業が生成AIを構築する際のブラックボックスを垣間見る貴重な機会となっている。また、Sunoに対する著作権侵害訴訟における多くの主張を裏付けてもいるようだ。

 Universal Music Group、Sony Music Entertainment、Warner Music Groupといった大手レコード会社を代表する業界団体は、現在進行中の訴訟において、Sunoが同意や適切なライセンスなしにアーティストの楽曲を使用することは著作権侵害だと主張している。

 他のAI企業と同様に、Sunoは学習データとしてのオリジナル素材の使用は著作権法におけるフェアユース(公正利用)の原則の下で合法だと主張している。AnthropicやMetaは2025年夏、侵害を主張する作家が起こした同様の訴訟で勝訴している。

 この訴訟に詳しい情報筋が米CNETに語ったところによると、Sunoは公的な提出書類や自社のウェブサイトで学習方法を開示しているため、404 Mediaの記事にある情報を「実質的に新しい」ものとは考えていないという。

 同社はウェブサイトで、「Sunoの音楽生成AIモデルは、オープンなインターネット上のサードパーティーのウェブサイトでアクセス可能な、公開されている音楽ファイルと関連するメタデータで学習している」と説明している。

 これらの訴訟は、クリエイティブ業界の波乱に満ちた状況を裏付けている。Sunoのようなテクノロジー企業は、自らの存在意義はクリエイティブなプロセスを支援し、アクセスを普及させることだと述べている。一方アーティストたちは、AIが作品を無断で使用し、「AIスロップ」と呼ばれる安い模倣品を作り出していると主張している。

 一部のパブリッシャーや著作権者は、自社コンテンツの使用についてAI企業と契約している。AI企業もまた、ディープフェイクやあからさまな模倣を防ぐための対策を導入している。例えば、Sunoにテイラー・スウィフトのスタイルでポップソングを作成させることはできない。

 しかし、こうした対策はアーティストを安心させるにはほとんど役立っていない。UMGが別の訴訟を和解する際にSunoと行ったように、レコード会社がAI企業と契約を結んだ場合でも、ミュージシャンたちは自らの楽曲の使用に対する対価を受け取っていないと述べている。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。

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