「スター・ウォーズ」シリーズで知られる映画監督のジョージ・ルーカスさんが、映画制作におけるAIの導入について、肯定的な見解を示した。
海外のカルチャーメディア「A Rabbit’s Foot」が7月2日に公開したインタビューの中で言及。AIによって映画制作はより容易になると語り、その普及を「それが進歩であり、未来なのだ」と表現している(外部リンク)。
一方で、AIによる偽情報やディープフェイクといった危険性についても認めている。ただし、AI生成物の真偽や出所を特定する技術もAIによって開発できるとし、「道具そのものではなく、それを使用する人間が責任を負うべき」という考えを示した。
『スター・ウォーズ』の生みの親ジョージ・ルーカス「それが進歩であり、未来」
『スター・ウォーズ』の生みの親として知られるジョージ・ルーカス監督。
ジョージ・ルーカスさんが生んだ『スター・ウォーズ』シリーズ
インタビューでは、AIの映画制作への導入について、馬車から自動車への移行にたとえて説明した。
自動車には故障や燃料、軍事利用といった問題があるものの、それを理由に馬車を使い続けることはできないと指摘。AIについても同様に、問題があるからといって技術の進歩を止めることはできないと語っている。
偽の映像や情報が生成される危険性については、AIを使ってコンテンツの真偽や出所を特定できるようになる可能性に言及。「人間は自分の発言や行動に責任を持つべきだ」とし、違法な行為には使用者が責任を負うべきだとの考えを述べている。
ジョージ・ルーカス、2024年にもAIを「不可避」と表現
ジョージ・ルーカス監督が映画制作へのAI導入を肯定したのは、今回がはじめてではない。
2024年に開催された第77回カンヌ国際映画祭では、フランスのメディア「Brut」のインタビューに出演。
映画制作におけるAIについて問われると、その利用は「不可避」であると回答し、今回と同じく、自動車と馬車を用いた比喩で説明していた。
https://twitter.com/i/status/1794018944602259706
当時の発言では、AIが望ましいか否かよりも、技術の普及そのものを止めることはできないという認識についてのコメントが中心だった。
対して今回のインタビューでは、AIを「進歩」「未来」と明確に表現。映画制作を助ける技術として、より積極的な評価を示した。
映画のデジタル化を牽引してきたジョージ・ルーカス
ジョージ・ルーカス監督は1975年、『スター・ウォーズ』の特殊効果を制作するためにIndustrial Light & Magic(ILM)を設立。
以降、モーションコントロールカメラやCG、デジタル編集、デジタル撮影などを映画制作へ導入し、ハリウッドにおける映像技術の発展を牽引してきた。
ジョージ・ルーカス監督にとってAIは、フィルムからデジタル撮影への移行と同じく、頭の中のイメージを実現するための新たなツールということなのかもしれない。
『スターウォーズ』撮影現場でのジョージ・ルーカス監督(左)/画像はLucas Filmより
今回のインタビューでは、ハリウッドで行われるテスト試写や、ファンの反応に従って作品を修正する文化についても批判している。
観客の反応を理解すること自体は有用だとしつつも、その意見をそのまま作品へ反映し、観客に映画をつくらせてしまうことには否定的な見方を示した。
GoogleとA24も映画制作へのAI導入を研究
映画業界では現在、AIの導入が構想の段階を越え、具体的な制作工程へ入りはじめている。
Google DeepMindと映画スタジオ・A24は6月、映画制作における新しいワークフローや技法を研究する提携を発表した。
同じく6月には『タクシードライバー』で知られる映画監督のマーティン・スコセッシさんが、生成AI企業・Black Forest Labsのクリエイティブ・アドバイザーに就任。同社の画像生成AI「FLUX」を用いて、映画制作の前段階である絵コンテを制作する様子も公開された。
一方で、AIが人間の表現を代替する行為には、映画業界から強い反発も起きている。
7月、AIによって生成された女優であるティリー・ノーウッド(Tilly Norwood)が長編映画に主演すると発表された。
ティリー・ノーウッドについて、映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)は「俳優ではなく、感情も経験も持たないキャラクターであり、制作側はギルドの契約義務を必ず守れ」と批判している。


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