「逃げ恥」海野つなみの次の題材は「占い」

私たちの周りには「占い」が溢れてる。      
朝の占いランキングをなんとなく必ず見ている人もいるだろう。占星術、四柱推命、タロット、九星気学……。人気番組「突然ですが占ってもいいですか?」でロックオンされる有名人たちを見ると、思わず本心が出てしまっているのでは?と感じることも多くあるのではないだろうか。

そう、占いにはその人の悩みが集まってくる。いま悩んでいることがなんとかならないかな? というよすがになっているからだ。

その「占い」を媒介とし、「逃げ恥」の海野つなみさんが人間の悩みにまつわるあれこれを描いたマンガ『クロエマ』が、2026年6月12日からamazon Prime Videoで 世界独占配信されている。主人公のふたり、エマは杉咲花さん、クロエは多部未華子さんが演じ、『1122(いいふうふ)』の今泉力哉監督と脚本の今泉かおりさんのタッグだ。

海野つなみさんによるマンガ『逃げるは恥だが役に立つ』は2012年から連載が始まった。2016年に新垣結衣さんと星野源さんによるドラマも大人気を博し、2019年にはスペシャルドラマも作られている。『クロエマ』は全11巻で完結した本作から、短編やシリーズ連載を経て始まった新連載だった。8月12日には最終巻となる5巻も発売となる。

逃げ恥が完結してから待ちに待った新作としてスタートした

主人公は30歳で住む家も職も失った江間宵(えま・しょう)が、クロエこと黒江神名(くろえ・かな)の自宅の前で野宿をしようとしていたシーンから物語は始まる。

(c)海野つなみ『クロエマ』/講談社

ドラマの5話が配信されたのを記念し、海野つなみさんから寄せられたコメントと共に、作品の魅力を分析。

無料の試し読みもお届けする。

漫画/海野つなみ 文/新町真弓(FRaU web)

「なぜ若い女が野宿しようとしていたの?」

「だいたいなんで若い女が野宿しようとしてたの?」

玄関扉を開けたときにエマを見つけたクロ。共にいた下門(しもん)が「警察に連絡をしましょうか」と問いかけるが、「非常にぶしつけなお願いなのは承知しているのですが、お手洗い…お借りできたら大変助かります…」と、確かにぶしつけながらも丁寧に相談をする江間を自宅にあげる。

そして江間が同棲していた彼氏が他の女性とデキ婚することになり、同時に職も失って家も借りられず、ネットカフェで寝泊まりしていたこと、値段が上がる週末と祝前日に節約しようとしていたことを知る。江間は唯一の家族の母親を27歳のときに亡くしていた。      
ハローワークに行くも住所不定で住民票が出せず、就職活動もままならなかった。

「詰んだね」というクロエに江間は言う。      
「毎日ネットの星占いばかり見てます…もう頼れるものが占いしかなくて」

実はクロエは趣味で占いをやっていた。それを知った江間は占ってもらえないかと頼む。      
「お願いします。当たらなくても構いません…希望が欲しいんです…」

(c)海野つなみ『クロエマ』/講談社

「未来はそんなに当たらない」理由

確かに私たちの多くは「今の悩みから抜け出せないかな」「なにかいいことないかな」と思って占いに希望を見出そうとする。その気持ちを利用しようとして洗脳のようにお金を搾取する事件が起こるほど、すがりたくもなる。

しかし、自身が占いをするクロエはこうきっぱり言うのだ。      
「そもそも占いって過去や現在は当たるのよ。もう確定してるから。でも未来はそんなに当たらない。それはなぜか。未来はこれからの行動で変わっていくから確定した未來なんてないの。それでもよかったら占ってあげる」

(c)海野つなみ『クロエマ』/講談社

むしろ占いを利用して自分の思いのままに操ろうとしている人からは出てこない言葉だ。「逃げ恥」をはじめ、海野作品には多くの名言があると話題だが、すでに心に刺さる言葉が山盛りであることは、ドラマを見てもわかるだろう。では海野さんはどんな思いで執筆し、ドラマのことはどのように思っているのだろうか。

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