ライト、カメラ……人工知能(AI)?
2026年初めにイランで起きた抗議活動への暴力と虐殺に着想を得た長編映画「Dreams of Violets」が、米国時間6月10日にトライベッカ映画祭で上映される。同作はAsh Koosha氏とPooya Koosha氏の兄弟が、AIに重点を置く両氏の制作会社Fountain 0 Studiosの下で監督・制作した75分のドキュメンタリードラマで、すべての映像がAIで生成されている。
Dreams of Violetsがトライベッカ映画祭で上映されるのは、米国とイスラエルによる対イラン戦争と、中東で続く緊張のさなかのことだ。このような物語を世界的な舞台で表現できる同地域出身の映画制作者が比較的少ない状況で、この題材はとりわけ時宜を得ており、議論を呼びそうだ。
映画をめぐるこうした問いは、筆者が米カリフォルニア州カルバーシティで参加したAI映画制作カンファレンス「AI on the Lot」のほぼすべてのパネルや議論に関わっていた。会場では、これまで資金難からプロジェクトを形にできず過小評価されてきたクリエイターが、AI動画ツールのおかげで映画を制作しやすくなるとの楽観的な見方が、登壇者から一貫して示された。
筆者は、AIによってアーティストが通常よりはるかに低いコストで、視覚的に見事な作品を制作できることを示す例を複数目にした。その好例がDreams of Violetsだ。その制作期間は2カ月、制作費は2000ドル(約32万円)だ。
一方でこの映画は、深く人間的な経験を描くうえで、物語を十分に支える実体験に基づく視点や感情的な真正性を欠いたままAIを使うことへの懸念も招いている。同作がトライベッカ映画祭のラインアップに入ったことで、すでにオンライン上では激しい議論が起きている。
議論はRedditにも広がっており、反応は大きく割れている。トライベッカ映画祭が同作をプログラムに組み込んだことを批判するユーザーがいる一方で、従来のスタジオという門番や、インディペンデント作品を制約しがちな資金面の障壁をKoosha兄弟が回避したと評価する声もある。
複数の人は、アカデミー賞にノミネートされたイラン人映画監督Jafar Panahi氏の作品に言及した。同氏の2025年のパルムドール受賞作「It Was Just an Accident」も、イランにおける政治活動と弾圧を描いている。多くの批評者にとって、同作はAI生成の演技や映像を使わずに制作されたため、出来事をより地に足の着いた、人間味のある形で描いた作品となっている。
Panahi氏は現在イランで「体制に対するプロパガンダ」の罪に問われ、裁判に直面している。
Fountain 0 Studiosの担当者は、コメントの依頼にすぐには回答しなかった。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を4Xが日本向けに編集したものです。
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