×月×日
冒頭に拙著(『私労働小説 ザ・シット・ジョブ』)についての言及がある本が出たらしいとは知っていた。その本のタイトルは『書店員の怒りと悲しみと少しの愛』(大塚真祐子/水越麻由子/篠田宏昭/前田隆紀/笈入建志/モーグ女史/小国貴司/嶋田詔太著、knott books、2090円)。そうこうするうち、「すごい本があるから送りたい」と、みすず書房の編集者Iからメールが届いた。何だろうと思っていると、自社の本でもないのに速攻で送ってくれたのがその本だった。
日本では、出版界や書店の未来に関する本がたて続けに出版されているようだが、書店員が書いたものは珍しい。「ゲラを送るので感想を書いてほしいという出版社からの依頼」「大半は無償。その割に送った文章は宣伝に使用される」などの記述には、そういう手法で本を売られた経験のある著者として胃が痛くなった。実際、知り合いの書店員から、「あのやり方は嫌だった」と率直に言われたのを思い出したのだ。
出版社は「書店員さんたちの評判がよいから」と著者には明るく言う。しかし、現場の事情をよく聞いてみれば、一つ一つの推薦コメントの裏側に暗い闇が広がっていることが…
残り943文字(全文1443文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める


WACOCA: People, Life, Style.