脳のコンディションを整えるうえで、最も合理的な習慣は何か。頭のいい人が実践している脳にいい習慣には、生理学的な裏付けがある。医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏が書き、世界20か国以上で続々刊行されている『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』からヒントを紹介しよう。(ダイヤモンド社書籍編集局・三浦岳)


本当に賢い人が自然にやっている「頭がよくなる習慣」ベスト1Photo: Adobe Stock



脳トレよりも身体を動かす

 脳のパフォーマンスを最大化し、明晰な思考を保ちたいと願うなら、読書や脳トレよりも先にすべきことがある。それは「筋肉を鍛えること」だ。


 医師で老年医学・栄養科学の専門家であるガブリエル・ライオン氏は、著書『筋肉が全て』で、筋肉は単に重いものを持ち上げたり、体を動かしたりするためだけのものではないと説く。筋肉は、私たちの体内で最大の内分泌器官として機能している。


 筋肉が収縮すると、「マイオカイン」と呼ばれる生理活性物質が分泌される。これは全身に作用し、代謝や免疫、さらには脳の働きにも影響を及ぼすことが知られている。


 頭のいい人が運動を習慣にするのは、単なる気分転換ではない。体を動かすことが、思考力そのものを支えているからだ。本書にはこう記されている。


 マイオカインは全身の組織で代謝を調節するのに役立つだけでなく、組織ごとに異なる抗炎症効果を発揮して、免疫機能や代謝を向上させる。――『筋肉が全て』より


 つまり、筋肉を鍛えることは、全身の炎症を抑え、免疫システムを強化する「最強の薬」を自ら作り出す行為にほかならない。


 また本書によると、肥満と認知症の研究において、ウエストが太い人ほど脳の容積が小さいという衝撃的な事実が判明しているという。筋肉の衰えは脳の衰えに直結するのだ。逆に言えば、筋肉を動かすことは、脳を物理的にアップグレードすることになる。


 マイオカインは幸福感と学習能力も向上させる。運動することで脳への血流が増し、毒素の除去が進むだけでなく、新たな脳細胞の発達が促されることが明らかになっている。――同書より


 筋トレによって分泌されるマイオカインは、脳由来神経栄養因子(BDNF)の生成を促し、記憶や学習を司る海馬を成長させる。頭のいい人は、ジムに通うことで単に見栄えを良くしているのではなく、脳のコンディションを最適化しているのだ。


 思考力を高めたいなら、まず体を動かすこと。シンプルだが、見落とされがちな事実である。


(本記事は、ガブリエル・ライオン著『筋肉が全て━━健康・不老・メンタル、人生のすべてが変わる唯一の方法』に関連した書き下ろし記事です)


ガブリエル・ライオン(Dr. Gabrielle Lyon)

医師(DO)

イリノイ大学で栄養科学の学部課程を修了後、セントルイス・ワシントン大学において老年医学・栄養科学の臨床・研究フェローシップを修了。健康、パフォーマンス、老化、疾病予防におけるタンパク質の種類および摂取量の実践的応用に関する分野の専門家、教育者として活躍している。筋肉についての最新研究を網羅した本書は全米で大きな話題を呼び、ニューヨーク・タイムズベストセラー、ウォール・ストリート・ジャーナルベストセラー、USAトゥデイベストセラーとなり、世界各国での刊行が続いている。

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