【写真を見る】トム・ヒドルストン演じる謎の広告の男、チャールズ・クランツことチャックとは?

■「パズルが完成するような快感と感動」…チャックって何者?から始まる予測不能で詩的なミステリー

大地震、津波、森林火災、水没といった災害が地球のあらゆる場所で発生し、人々は世界の終焉を予感していた。誰もが不安や孤独に押し潰されそうになり、高校教師マーティー(キウェテル・イジョフォー)は離れて暮らす別れた妻フェリシア(カレン・ギラン)と電話で互いを思いやるように会話している。そんなマーティーにはひとつ気になるものがあった。街頭看板やラジオ放送に突如現れた、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という不可思議な広告だ。広告のなかでこちらに向かって微笑んでいる中年男性(ヒドルストン)はいったい誰なのか?彼に感謝する理由とは?誰に聞いてもその答えを知らないという。そしてついに、街灯が一斉に消え街が暗闇に包まれてしまう。建ち並ぶ家々の窓にチャックの顔が浮かび上がるのを見たマーティーたちは世界の終わりを覚悟する。しかしそれは、広告の男“チャック”の39年の⼈⽣を遡る物語の始まりでもあった。

本作は3つに章分けされた構成で、第3章から第1章へと遡っていく。その導入となる第3章において観客は、「いったいなにが起きているんだろう?」と戸惑いながらスクリーンに釘付けになってしまう。世界各地で起こる大災害にネットインフラの遮断による分断、そして“チャック”という謎の広告の男…。彼がこの状況を作りだしたのか?そんな疑念を抱く人もいるかもしれない。しかし、その後の章で明かされるチャックの人となりに触れるうちに、人生の尊さを知り、大きな感動が押し寄せてくる。試写会参加者からも心が動かされた、驚かされたという声が多く上がっている。

「世界の終わりから始まる不思議な感覚。最後にチャックの人生の始まりを目撃した時、すべての点と点がつながって涙があふれました」(30代・女性)
「ミステリーだと思って観ていたら、いつの間にか自分の人生を振り返っていました。この構成の巧みさは、まさにフラナガン監督の真骨頂です」(40代・男性)
「『39年間』という時間の重みが、逆行する物語によってより鮮明に伝わってきました。パズルが完成するような快感と感動が同時に押し寄せます」(20代・女性)

■「生きることの歓喜そのもの」…トム・ヒドルストンが魅せる魂を揺さぶる“祝福のダンス”

続く第2章では、大勢が行き交う広場でドラマーの女性(テイラー・ゴードン)がストリートパフォーマンスを行っている。足を止める者は誰もいないが、そこへ一人の男性が近づいてくる、あのチャックだ。歩みを止めた彼は、小気味いいビートに耳をすませておもむろにリズムを取りだすと、突然その場で踊り始める。その光景にいつの間にか人だかりができていく。

「トム・ヒドルストンのダンスがまぶしすぎて、自分の平凡な毎日も魔法のように祝福されているように感じました」(40代・男性)
「あのダンスシーンは理屈抜きで涙が出た。彼が靴底を焼き切るほど踊り続けた姿に、生きることの歓喜そのものを見ました」(50代・女性)
「一拍も外さない生のビートとトムの躍動。こんなにも美しいものを見せてくれるなんて、反則です」(30代・女性)

広場にいた恋人と別れたばかりの女性(アナリース・バッソ)も巻き込んで、心から楽しそうに踊るチャックの姿は多幸感にあふれており、劇中の観衆と同様に参加者も魂を揺さぶられたようだ。ダンスシーンの振付を担当したのは『ラ・ラ・ランド』(16)にも参加しているマンディ・ムーアで、彼女のもとで正式なダンス経験がなかったヒドルストンは6週間にもおよぶ猛特訓でこの“至福のダンス”を習得したという。また、心から幸せそうにダンスを踊り、生きる喜びを表現するチャックだが、さらに彼の人生を遡っていくことでその理由も描かれていく。一見平凡ながら複雑な内面を抱えたチャックの“深い人間体験の大海”を熱演したヒドルストンの表現力もまた、大きな称賛に値する。

■「一人の男の魂がつながっている確かな証拠」…アンサンブルキャストが体現する“愛とつながり”

ヒドルストンに加え、キウェテル・イジョフォーにカレン・ギラン、さらにチャックの祖父をマーク・ハミル、少年時代のチャックにダンスを教える祖母をミア・サラ、高校時代のチャックをジェイコブ・トレンブレイが演じるなど、若手からベテランまで多彩な演技派がそろっている。彼らが織りなす“愛とつながり”を体現したアンサンブルが物語に説得力をもたらし、多くの賛辞が贈られている。

「マーク・ハミル演じるおじいちゃんが本当に温かい。彼が孫に向ける眼差しだけで、チャックの人生の豊かさが証明されていました」(50代・男性)
「世界の終わりを前に、日常を保とうとするキウェテル・イジョフォーの演技がとてもリアルで人間としての尊厳を感じました」(40代・女性)
「少年時代を演じた子役たちの透明感。特にトムの仕草を完璧に取り入れたダンスには、一人の男の魂がつながっている確かな証拠を見ました」(20代・男性)

■「恐怖は愛と希望なしには存在し得ない」…『ショーシャンクの空に』の系譜を継ぐ恐怖の先の“人生の喜び”

スティーヴン・キングといえばホラー。このイメージは間違っていないが、キングを唯一無二のストーリーテラーたらしめている所以は、登場人物たちが様々な困難やトラウマを乗り越えた先で見つける生きる喜び、人生の豊かさを描いているところにもある。キング作品に精通したフラナガン監督も「キングの人間に対する深い愛情を大切に脚色した」と語るとおり、試写会参加者からも『ショーシャンクの空に』(94)、『グリーンマイル』(99)といった非ホラーのキング作品と比較するコメントが目立った。恐怖をくぐり抜けた先に待つ、優しく胸に迫る本作のメッセージが現代を生きる観客たちの心に深く刺さっていたようだ。

「ホラーの帝王が描く、最も優しい物語。『ショーシャンクの空に』を観た時の、心が洗われる感覚を久しぶりに味わいました」(50代・女性)
「怖いキング作品かと思いきや、人間の尊厳と記憶の美しさを丁寧に描いた名作。一生忘れられない一本になりました」(40代・女性)
「恐怖は愛と希望なしには存在し得ないというキングの言葉が、すとんと胸に落ちました。これこそが私たちが待っていたキング文学の映画化です」(30代・男性)

■「監督のキング愛と人間愛が細部まで宿る」…鬼才マイク・フラナガンが描く美しき世界の終わりと生の躍動

フラナガン監督に対しキングは、「優れたストーリーテラーでビジュアルの才能もある」と絶賛している。その理由はおそらく、『ジェラルドのゲーム』(17)や『ドクター・スリープ』など過去に手掛けたキング原作の映像化作品でその本質を理解し、登場人物が直面する心象的な恐怖を丁寧に描いてきたから。本作においても、終末の風景を“静かで美しい終わり”として捉えつつ、随所に散りばめられた視覚的なつながりや伏線が観客を物語の深淵へと誘っている。「ただの映画以上の体験」や「人生を見る視点が変わる、セラピーのような作品」など、その圧倒的な映像美と演出力に誰もが酔いしれていた。

「静かで美しい世界の終わりの映像美に圧倒された。絶望を描きながら、これほどまでにポジティブになれる映画はほかにありません」(20代・女性)
「フラナガン監督がこの物語に挑戦したかった理由がよくわかります。人生を肯定するための、最高の贈り物のような映画でした」(40代・男性)
「悲劇的な背景があるのに、観終わったあとにこんなにも晴れやかな気持ちになれる。監督のキング愛と人間愛が細部まで宿っています」(50代・女性)

■「絶望の中でしか鳴らせない命の祝福を感じた」…パンサーも絶賛する『サンキュー、チャック』の映像体験

試写会におそろいの“サンキュー”Tシャツを着て登壇したパンサーの尾形と菅。サプライズで尾形の8歳に娘、さくらちゃんからお父さんへの、「サンキュー!」がこもった手紙が読まれる場面もあり、その内容と本作を照らし合わせた尾形は、「普段ギャグで言っている『サンキュー!』が、この映画を観たあとはまったく違う重みで胸に刺さりました。誰かに感謝を伝えたくなる物語です」と込み上げてくるものがあった様子。菅もまた、「絶望の中でしか鳴らせない命の祝福を感じた」と、フラナガン監督が描く独特の映像体験を絶賛する。そして、劇中の「あなたの中には宇宙がある」の言葉どおり、鑑賞後に多くの観客が明日への希望を抱いていたことが以下のコメントからも伝わってくる。

「人生の節目を迎えるすべての人へ、平凡な人生なんて一つもないんだと勇気をくれる映画です。自分のこれまでの39年間を肯定してもらったような気がして、明日からまた一歩踏みだす力をもらいました 」(30代・男性)
「どんなに世界が崩壊しそうでも、鞄を置いて踊ること。いまこの瞬間の歓喜を抱きしめる大切さを教えてくれます」(20代・女性)
「『ショーシャンクの空に』の感動をもう一度味わいたいなら、迷わずこれを。恐怖の先にある、あまりに優しく美しい愛と希望に、心の底から浄化されるはずです」(50代・女性)
「私たちは内側に無限の宇宙を抱えている。一人の男の39年間をたどるこの物語は、人生の最期まで可能性が眠っていることを証明してくれます。すべての悩める魂に贈りたい『生の全肯定』の物語です」(40代・男性)

つらいこと、苦しいことも多い人生だけど、その一瞬一瞬は輝いていてとても愛しい。広告の男チャックの人生が明かされる時、誰もがそのことを実感するはずだ!

文/平尾嘉浩

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