これまで音楽伝記映画の北米オープニング記録は、2015年の「ストレイト・アウタ・コンプトン」が持つ6020万ドル(約96億円)だった。「Michael マイケル」はこの記録を6割以上更新したことになる。海外でも、「Michael マイケル」のプロデューサー、グラハム・キングが製作した前作「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)の7990万ドル(約127億円)を約1.5倍に上回り、「エルヴィス」(2022)や「ロケットマン」(2019)といった近年のヒット作の数字を大きく置き去りにした。

 世界各国では観客が劇場をライブ会場のように使う「祭典化」が起きているという。スペインではDJも一般客も、白手袋と赤いジャケットというマイケルそのもののいでたちで劇場に集まっている。東南アジアの劇場では光るリストバンドが配布され、ファン用の写真スポットも設けられている。イタリアでは館内でダンスタイムを開くなど、上映そのものをイベントに仕立てる動きが広がっている。

 中国でも世代を超えた現象になっている。マイケル・ジャクソンは現地では年配世代を中心に知られているが、初週590万ドル(約9億円)でランキング1位を獲得し、中国の映画レビューサイト「Maoyan」では9.6という、年内のハリウッド映画として最高のスコアをつけた。

 ユニバーサル国際配給部門のベロニカ・クワン・バンデンバーグは、世界での反応にこう手応えを語る。

「『Michael マイケル』のこの並外れた世界オープニングは、マイケル・ジャクソンの影響力が世代と文化を越えていまも生き続けていることを力強く証明するものです。世界中の観客がこれほど熱意を持ってこの作品を受け入れてくれているのを目にすることは、本当に胸が躍る思いです」

 配給戦略の裏側にも、前作「ボヘミアン・ラプソディ」の経験が生きている。プロデューサーのグラハム・キングは、海外配給権をユニバーサルに約7,000万ドル(約112億円)で売却し、同社をパートナーに迎えることに成功した。ユニバーサルは「マンマ・ミーア!」「レ・ミゼラブル」「ウィキッド ふたりの魔女」など、音楽をテーマにした作品の興行に強い。

 ちなみに「ボヘミアン・ラプソディ」は最終的に世界総興収9億1,080万ドル(約1452億円)まで伸び、海外オープニング比6.6倍という異例の伸長を見せた。「Michael マイケル」が同じ軌道に乗れるかは、まだわからないと米デッドラインも慎重な見方を示している。

 「Michael マイケル」は6月12日より全国公開。

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