2006年に公開された映画「プラダを着た悪魔(The Devil Wears Prada)」は、ファッション業界を舞台にした作品として今なお高い人気を誇る。その魅力の1つが、登場人物たちが身にまとう衣装やシューズだ。
「あなたまさか…」
「『シャネル』」のブーツ?ええ、そうよ」
この名シーンは、エミリー・ブラント(Emily Blunt)演じるファッション誌“ランウェイ”の第1アシスタント、エミリーと、アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)演じる第2アシスタントのアンディの会話だ。かつては野暮ったいファッション初心者だったアンディが、全身「シャネル(CHANEL)」のスタイルでオフィスに現れた際、エミリーが彼女のニーハイブーツに気づく。このセリフは作品を超えてポップカルチャーの歴史に刻まれ、今や人気のネットミームとなっている。
アンディの劇的な変身は、スタンリー・トゥッチ(Stanley Tucci)演じるファッションディレクターのナイジェルによるもの。彼がオフィスのクローゼットにあるラグジュアリーアイテムをアンディに与えたことがきっかけだ。この出来事は、アンディが仕事への自信をつけ、メリル・ストリープ(Meryl Streep)演じる編集長ミランダ・プリーストリーに認められていく転機となる。
作中におけるシューズは、衣装デザイナーのパトリシア・フィールド(Patricia Field)のディレクションのもと、アンディのスタイルの変化を象徴する重要な要素として機能している。5月1日に公開される続編「プラダを着た悪魔2」に合わせ、同作に登場した印象的なシューズを振り返る。
前述した「シャネル」のブーツは、2005-06年秋冬コレクションのもの。ゆったりとしたシルエットでありながら足にフィットするデザインで、ミニスカートの裾がブーツにかかるほどロング丈だ。シャープなポインテッドトウとスティレットヒールが、彼女のパワフルな雰囲気を強調している。2005年クルーズコレクションのダブルブレストジャケットを合わせ、全身「シャネル」のルックを完成させた。
アンディのスタイルの変化を象徴するアイテムとして、ブーツは重要な役割を果たす。忙しく街を歩くシーンでは、「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」のブラウンレザーのニーハイブーツを着用。わずかに厚みのあるソールで、ブラックタイツや「レベッカ テイラー(REBECCA TAYLOR)」のコート、「シャネル」のバッグ、オレンジの帽子と組み合わせた。
アンディは、華やかなヒールスタイルも取り入れていく。このルックでは、「ジュゼッペ ザノッティ(GIUSEPPE ZANOTTI)」のゴールドパンプスを合わせ、アニマル柄のトリムが施されたグリーンコートにアクセントを加えている。
編集長、ミランダ・プリーストリーも遊び心ある足元のスタイリングを披露。オフィスでのシーンでは、「クリスチャン ルブタン」のブラックブーツに、「イジー カミレリ(IZZY CAMILLERI)」の赤と黒のファーコートを合わせ、力強い存在感を演出している。
別のシーンでは、アンディはアーモンドトウのTストラップパンプスを着用。細身のストラップがビンテージ感を演出し、ベルトでウエストを絞ったホワイトコートと見事に調和していた。「シャネル」のニュースボーイキャップと、「カルバン クライン(CALVIN KLEIN)」のシルバーバッグでコーディネートを完成させた。
物語の終盤、アンディは雑誌“ランウェイ”を去り、自身の理想に近いジャーナリズムの道へ進む。彼女は、エイドリアン・グレニアー(Adrian Grenier)演じる恋人のネイト(Nate)との関係を修復し、仕事の推薦状を書いてくれたミランダに会う。ラストのルックは、日本製のダークブルーのスキニーデニムにゆったりとしたブラウンのスエードブーツを合わせ、「ヴィンス(VINCE)」のレザージャケットと「DKNY」のブラックタートルネックを重ねたスタイル。これまでの華やかさを抑えつつ、洗練された印象で締めくくられる。








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