「第44回 向田邦子賞受賞者発表会見」が21日に都内で開催され、俳優の水上恒司主演ドラマ「シナントロープ」(テレビ東京)の脚本を手掛けた此元和津也氏が受賞した。
「シナントロープ」脚本・此元和津也氏、向田邦子賞受賞「向田邦子賞」は、故・向田邦子さんのテレビドラマの脚本家としての功績を讃え、現在のテレビ界を支える優秀な脚本作家に贈られるもの。前年度に放送されたテレビドラマを対象に、選考委員がノミネート作品を選定し、本選を含めて4回の討議を経て受賞作品を決定している。
「シナントロープ」は「深夜営業でありながら、入り口は広く明るく、メニュー豊富なアイデア料理の店のような作品である。人と人が話す、それだけでドミノが倒れるように物語が飛躍していく様は言葉の活劇であり、会話劇の理想であった。愚かなはみ出し者たちを同じ目線で、その魅力をまるごと引き受けて描いていく筆致は向田邦子賞に相応しい」と評され、今回の受賞につながった。
選考委員の大森寿美男氏(第19回受賞者)は「とても個性的で、とても不思議な作品でした。セリフも先の読めないストーリーも面白いんですけど、それだけじゃなく、青春群像劇としても見られますし、そこにミステリー要素もあって。いろんなものが詰まってて渋滞している作品なんですけど、それが見事に独自の世界観でまとめられているという、そのレベルもすごく高い作品だし、作家だと思いました」と評価。放送時からドラマのファンだったという大森美香氏(第23回受賞者)は「登場人物一人ひとりの個性に奥行きがあって、魅力的に浮き上がってきて。これを読んで、役者さんたちもすごくインスピレーション受けて演じてらっしゃったんだなということを感じて、こういう作品をもっともっと見てみたい」とコメントした。
続けて、井上由美子氏(第25回受賞者)は「個性的で素晴らしい作品だったと思います。私が特に好きなのは、一つひとつの謎の解決がゆっくりだったり、早かったり、バリエーションがあって、単に考察だけではなく、楽しむ形になっていたことがとても面白かったです。連ドラってどうしても初回にすべてを投入して引きつけるような内容になることが多いんですけれども、『シナントロープ』は見ていくうちにだんだん面白くなって、いろんな顔が出てくるというところがとても良かったと思いました」、坂元裕二氏(第26回受賞者)は「ファミレスやコンビニの前で話している人たちのそばにある物語というか、決して他愛ないとかどうでもいい話をあいつらはしている、ということではなく、同じ目線に立って、そのすぐそばからだんだんとサスペンスやミステリーに飛躍していく、日常離脱していく、そんな物語の紡ぎ方がとても見事で、とても現代的な強い作家性をお持ちの方だなと思いました。そういう意味で、向田邦子賞にとてもふさわしい作品であると思いました」と祝福の言葉を贈った。
此元和津也氏、顔出しNGで異例の登場都合によりリモートでの登壇となった此元氏は、ハンバーガーのお面をつけて登場し「こんな名誉ある賞をいただきまして、ありがとうございます。スタッフさん、キャストさんのお力添えがあって獲れたと思うので感謝を伝えたいです」と喜びと感謝を伝えた。なお、顔出しNGの理由については「友達に自分の仕事を言ってないんですよね」「もう今さら言えなくなっちゃった」と明かした。
質疑応答では、「面白い脚本を描くコツは?」という此元氏の質問に、坂元裕二氏が「もう十分お描きになられてると思うので、今のまま突き進んでいくのが1番良いかと思います。多分みんなそうしてきたと思いますので、自分を信じていただけたらなと思います」とコメントした。
「シナントロープ」本作は、街の小さなバーガーショップ「シナントロープ」を舞台に、 大学生の都成剣之介(水上)、バイトの同僚・水町ことみ(山田杏奈)ら8人の若者たちが織りなす青春群像ミステリーを描いた。(modelpress編集部)




WACOCA: People, Life, Style.