【レポート】<大港開唱 Megaport Festival>、台湾最大級の音楽フェスが放出した圧倒的な熱量

2026年3月21日および22日の2日間、台湾・高雄にて台湾最大級の音楽フェス<大港開唱 Megaport Festival>が開催された。

今年で17回目を迎えた本フェスは、台湾国内アーティストに加え、日本から結束バンドやHiromi’s Sonicwonder、アイナ・ジ・エンド(AiNA THE END)など12組が出演。さらにフィンランドのKäärijä、フランスからTSSやNOVELISTSもラインナップに名を連ねるなど、国際色を年々強めている。

NOVELISTS

Käärijä

大港人制度(事前登録した無料会員に付与されるチケットの先行購入権およびそれに付随する優先サービス制度)や実名制チケットといった転売防止の取り組みも用意されていたチケットは、例年通り争奪戦のプレミア化。出演者の全貌が明らかになる前に完売する秒殺ぶりは、このフェスの熱量の高さを証明している。

<Megaport Festival>初日開場時は快晴、気温29℃。まだ肌寒い東京とは対照的に、強い日差しが降り注ぐ港町・高雄らしい気候だ。会場に入ると、最も大きい南覇王ステージは今年さらに拡張されていた。そして、フェスの開始を告げる船の汽笛が鳴り響いた瞬間、“今年もここに帰ってきた”と実感すると同時に、高揚感が一気に押し寄せた。

椅子樂團 The Chairs

初日のトップバッターを務めたのは台湾のバンド・椅子樂團 The Chairs。結成10周年を迎える彼らの安定感ある演奏は、積み重ねてきた時間の重みを感じさせる。ステージ横の港を行き交う船に手を振る余裕や、その偶然が生んだ演出も素敵だった。

海龍王ステージには、初来台となる日本のjo0jiが登場。アニメ『呪術廻戦』エンディングテーマ「よあけのうた」では台湾の観客が自然と歌声を重ねる。背景には中文訳の歌詞が映し出されるなど、言語を超えて楽曲が届いていることを実感させた。

jo0ji

共振效應 feat.wannasleep

共振效應

青春夢ステージでは平均年齢18歳の新鋭バンド・共振效應が登場。『第3回 StreetVoice Awards』にて年度十大新音楽人を受賞した注目株だ。多くの観客が集まる中、シークレットゲストとして台湾のラッパー・wannasleepがまさかの登場。大きな歓声に迎えられて「高中熱音社指南」が披露された。こうしたラッキーに出会える予測不能な瞬間も、このフェスの醍醐味だ。

<Megaport Festival>に来たならFire EX. (滅火器)を観ないわけにはいかない。結成26年を迎えた彼らは、ライブ途中で、7月18日に初の台北アリーナ公演を行うことをサプライズ発表し、観客から大きな拍手が送られた。当日の熱いステージにも期待が高まる。

FireEX. (滅火器)

陳以恆

倉庫屋上に設置された出頭天ステージでは、ちょうど日没の時間と重なり、遠くに美しい夕陽を眺めながら陳以恆のアコースティックセットが始まる。台湾語で紡がれる優しい歌声が、観客の心に静かに沁み渡っていった。

陽が落ちた女神龍ステージにはsame Sam but different (鄭敬儒|山姆|楊世喧)が登場。入場規制がかかるほどパンパンの会場に、3人のSamが現れた。山姆の「善良是」で場内のボルテージが最高潮に達し、続く楊世喧の「Hi, 私はSamです」という一言の後に「三菜一湯 In the Middle」が披露された。楽曲に寄り添うような日没ならではの照明とともに披露された「自種自收 Yesterday Farmer」には心が震えた。歌声、楽曲、照明演出が混ざり合い、一つの物語が紡がれていく。久々にステージへ戻った楊世喧の姿に、涙を流す観客の姿も印象的だった。

same Sam but different (鄭敬儒|山姆|楊世喧)

   ◆   ◆   ◆

橋王 (King Bridge)

会場内を繋ぐ2本の橋が、大港橋と橋王 (King Bridge)だ。橋王は浮橋のため、歩くたびに上下に揺れるが、ステージのある両岸を繋ぐこの橋を渡るたびに、音楽と人の流れが交差していることを感じる。これは<Megaport Festival>ならではのものだろう。

そして迎えた2日目。12:30スタートの南覇王ステージには、結束バンドが日本から登場。朝8時の時点で数百人が列を作っていたというだけに、場内は文字通りすし詰め状態。“歓迎! 結束バンド御一行様”と書かれたタオルを掲げた観客が、エリアの遥か彼方まで埋め尽くした光景は圧巻だった。

結束バンド

芒果醬

続いて同ステージには台湾のバンド・芒果醬が登場。メンバーが“変身中”と書かれた甲板を出したかと思えば、結束バンドに変装して現れるというユーモアで会場を沸かせた。遊び心と演奏力を兼ね備えた愛すべきバンドでもある。

今回特に注目を集めたのは、ファミリー向けステージ。歌のお姉さんが「子どもたちがよく見えるように大人はみんな座ってね〜」と呼びかけた後、台湾で“巧虎”と呼ばれる“しまじろう”が登場。子どもはもちろん、大人も可愛らしい巧虎のダンスにすっかり引き込まれていた。

巧虎(しまじろう)

Gummy B & 陳閒靜

女神ステージでは、台湾のヒップホップアーティストGummy Bと陳閒靜が共演。Gummy Bが曲目表で紙飛行機を作り、客席に飛ばした。ラップミュージックに乗って紙飛行機が宙を舞う演出は会場全体がハッピーオーラに包まれた瞬間となった。

南覇王ステージでは、台湾のバンドSorry Youthと日本のPEDROによる台湾語×日本語のコラボ楽曲「Outta My Way」がステージ初披露された。飛び跳ねるように歌うPEDROのアユニ・DとSorry Youthによる唯一無二のステージが熱く会場を盛り上げた。

Sorry Youth & PEDRO

Hiromi’s Sonicwonder / 上原ひろみ

海龍王ステージに登場したのはHiromi’s Sonicwonder。上原ひろみの出演発表時には驚きの声が上がったが、その圧倒的な演奏は台湾の観客の心を掴み、全身で音楽を楽しむ現地オーディエンスの盛り上がりが伝わってきた。演奏後には「Hiromi 水啦!(最高!)」という歓声が会場に響いた。

続いて、アイナ・ジ・エンド(AiNA THE END)は真紅の衣装で登場。「革命道中」が始まると観客の熱気は最高潮に達した。また、アンコールでも再び同曲が披露されて大合唱。まさに心と声が一体となる時間だった。

アイナ・ジ・エンド(AiNA THE END)

落日飛車 (Sunset Rollercoaster)

2日間のトリを飾ったのは落日飛車 (Sunset Rollercoaster)だ。おなじみの楽曲に加え、HYUKOHとのアルバム『AAA』からのハッピーな「Young Man」も披露され、会場全体が心地よく揺れる。高雄の夜風の中で、音楽と観客が一つになっていく光景に胸が熱くなった。

今年の<Megaport Festival>は、各ステージで入場規制がかかるほどの大盛況ぶり。夜の帳が下りて、少し涼しくなった高雄の空のもと、2日目の南覇天ステージのトリを務めた落日飛車 (Sunset Rollercoaster)のステージ終了とともに花火が打ち上がり、2026年の<Megaport Festival>が幕を閉じた。

第17回目を迎えた<Megaport Festival>は、途中の休止期間を含めて初回から実質20年の節目の年となった。会場では多くの人が祝福と感謝の気持ちを伝えるシーンも。また、南覇天ステージと女神龍ステージはYouTubeでライブ配信され、日本からでもその熱気を感じることができた。2027年の開催は未定ではあるが、現地で体感するもよし、配信で共有するもよし。<Megaport Festival>は20年の重みをまといながら、ますます進化を続けていくはずだ。

取材・文◎竹内将子
撮影◎出日音楽

 

 

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