数年前から「繊細さん」「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉をよく目にするようになった。感受性が豊かである分、他者からの刺激に敏感に反応してしまい、人間関係がギクシャクしてしまう。他にも、さまざまなトラウマから人と付き合うことが苦手という人もいる。カミングアウトしている人もいるが、周囲に悟られないように生活している人もいる。

10月16日からNetflixで独占配信がスタートする「匿名の恋人たち」はロマンティックコメディという形でありながらも、トラウマから人に言えない症状で生きにくさを感じる大人たちのじれったい恋愛模様を丁寧に描いている。

潔癖症のため人と触れ合えない大手製菓メーカーの御曹司の藤原壮亮を演じるのは、蜷川幸雄氏の舞台で研鑽を積み、数々の作品で主演を務めた小栗旬さん。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で主役の北条義時を演じるなど、今や日本のエンターテインメント界を牽引する俳優の一人だ。

そして、相手役である視線恐怖症のため人の目を見られない天才ショコラティエ、イ・ハナを演じるのは、韓国で大ヒットしたドラマ『華麗なる遺産』、歴史ドラマ『トンイ』で主演を務め、一躍人気俳優となったハン・ヒョジュさん。日本語が堪能で、21年には日本映画『太陽は動かない』にも出演。超能力者の息子を守る母を演じたドラマ『ムービング』、巨大企業のミステリアスなCEOに扮した『支配種』での好演も記憶に新しい。

小栗さんにとっては12年に放映されたドラマ『リッチマン、プアウーマン』以来のラブコメ作品であり、ハン・ヒョジュさんも日本の恋愛ドラマへの出演は初となる。「よろしくお願いします」とリラックスした表情で登場した2人に、本作への出演を決めた理由と、撮影の舞台裏について詳しく聞いた。

最初はサスペンス要素もあった

――小栗さんが、恋愛をテーマにしたドラマに出演されるのは13年ぶりになります。まずは「匿名の恋人たち」への出演を決めた理由からお聞かせください。

小栗旬さん(以下、小栗):最初に企画書をもらったのがどのくらい前だったかはっきり覚えていないのですが、確か4年くらい前だったかな? しっかりしたロングプロットをいただいて、それがすごく面白かったんです。実際に撮影されたものとは少し違うストーリーでしたが、今回脚本を担当されたキム・ジヒョンさんと「ぜひやりましょう!」と。

初共演した小栗旬さん(右)とハン・ヒョジュさん(左)。撮影/大坪尚人イメージギャラリーで見る

――魅力的なプロットだったんですね。

小栗:そうです。実は最初、サスペンス要素も入っていたんですが、いろいろあってラブロマンスに落ち着いたんだと思います。

ハン・ヒョジュさん(以下、ヒョジュ):知らなかった! そうだったんですね、今初めて聞きました(笑)。

――小栗さんにとって、久しぶりのラブロマンス作品になりました。

小栗:はい、オファーが来ないんですよ(笑)。最近は、5本企画をいただいたら、4本は刑事ものだったりするんです。でも、久々にラブロマンスを演じてみて、すごく楽しかったです。

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