国民民主党の玉木雄一郎代表は14日、首相指名選挙に野党統一候補で臨むには基本的政策で一致することが不可欠との認識を示した。特に立憲民主党に対し、現実的な安全保障政策に転換するよう求めた。
玉木氏は、仮に野党が連立政権を組む場合は「安全保障政策、原発を含むエネルギー政策は一致させておかないと政権もがたがたする。特に安全保障に関しては寸分の揺らぎも許されない状況にある」と記者会見で述べた。
自民、公明両党の連立解消を受け、立民は玉木氏を有力候補の1人として首相指名選挙の野党候補一本化に向けた動きを加速化している。玉木氏の発言は新たな連立政権樹立には、まずは立民が安保政策で国民民主に歩み寄るよう促した。
国民、立民両党は共に連合を支持母体とするものの、安全保障やエネルギー面で隔たりは大きい。立民は安全保障法制の違憲部分廃止や原発ゼロ社会の実現を目指すとしている一方、国民は「反撃力の保持」や原子力発電の最大限活用を掲げている。両党と日本維新の会は14日午後、幹事長会談を実施する予定だ。
首相指名選挙の行方が不透明となっていることから、14日の日本市場は日経平均株価が一時700円超下げる大幅安で始まったが、下げ渋りつつある。自公の連立解消による国内政局不安や米中貿易摩擦の再燃懸念から医薬品や電機、銀行などに売りが優勢な半面、半導体関連株や非鉄金属株が指数を下支えしている。
野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは、公明の連立離脱から「首相指名選挙まで日本株は様子見ムードが続きやすい」と語る。一方、成長シナリオが明確な半導体などAI関連株に投資資金が向かう可能性があるとも指摘した。
リスク回避で安全資産である債券は先物が上昇。円の対ドル相場は152円台前半で推移している。
維新、公明
立民、国民と日本維新の会の3会派を合わせた議席数は210議席と自民党会派の196議席を上回るため、3党がまとまれば統一候補が首相に選出される。
野党が候補者を一本化しなければ、決選投票では高市氏が首相に選出される公算だ。首相指名選挙は20日以降に行われる見込み。

維新は、立民と国民が一致するかどうか見極める方針だ。吉村洋文代表は13日のテレビ番組で、「立民と国民がまとまるのであれば真剣に話を聞く」と述べた。 ただ、自民とも申し入れがあれば協議に応じる方針も示している。
10日に自民との連立離脱を決めた公明党の出方も、首相指名の結果を左右する可能性がある。斉藤鉄夫代表は12日、フジテレビの番組では個人的考え方として「野党の方に投票することはありえない」としていたが、その後は発言を修正。野党統一候補も可能性の一つだとBS日テレの番組で述べ、含みを持たせた。
こうした中、自民は14日午後、両院議員総会と同懇談会を開き、今後の対応について所属議員の意見を聞く。
船田元衆議院議員がFacebookで公明との連立解消に関し、高市早苗総裁の対応を公然と批判するなど所属議員から執行部への批判が既に出ている。高市氏は経緯について説明し、理解を求める考えとみられる。
鈴木俊一幹事長は13日の記者会見で、高市総裁が首相指名を受けられるよう最大限努力していると述べた。「一番親和性が大きいのは公明党」と述べ連携を模索する考えも示した。NHKが報じた。
鈴木氏は14日午後1時30分から、国民の榛葉賀津也幹事長と会談する予定だ。
— 取材協力 Toshiro Hasegawa and Masahiro Hidaka