世界三大映画祭を制したPTAの最新作『ワン・バトル・アフター・アナザー』

『ワン・バトル・アフター・アナザー』

『ワン・バトル・アフター・アナザー』の監督(・脚本)は、世界三大映画祭を制したポール・トーマス・アンダーソン(PTA)。主演はレオナルド・ディカプリオ、共演はショーン・ペンとベニチオ・デル・トロという全員アカデミー賞俳優なので、映画好きにとっては、観ないという選択肢はない、避けては通れない好物作品だと思います。

とはいえ、タイトルが意味する〈次から次へと続く戦い〉だけでは一体どんな戦いなのかわからないですし、アカデミー賞俳優が演じるのは、元革命家のボブ、変態軍人のロックジョー、空手の“センセイ”となると、難解な映画なのか? ついていけないかもしれない? という不安もあって当然です。

で、どんな映画なのか──。話の軸はとてもシンプルです。元革命グループ〈フレンチ75〉の一員だったボブは、最愛の娘ウィラとひっそりと暮らしていましたが、ある日、娘をさらわれたことで生活は一変します。

戦う力を失っていた元革命家が、娘を助け出すために奮闘する、娘のウィラも脱出を試みる、逃げる者と追いかける者が繰り広げるシンプルな闘争劇なのですが、登場人物の癖が強いことで、観る者はあらゆる方向に物語を想像する。しかもこの映画に原作はなくPTAによるオリジナル脚本。彼が、次々と放つ巧妙な物語の仕掛に振り回されるのがなんとも楽しいのです。

かつての仲間と連絡を取る際に必要な合い言葉を思い出せない元革命家の理想と現実、標的を執拗に追い詰めていく変態気質の軍人の異様さ、ウィラの空手の師でありボブがピンチの時に現れる“センセイ”の謎めいた感じ、アカデミー賞俳優3人は言うまでもなくすごいけれど、この映画の隠れた主人公は女性革命家であることも注目ポイント。

〈フレンチ75〉の一員でボブが恋した女性ペルフィデイア役のテヤナ・テイラー、同じく革命家メンバー・デアンドラ役のレジーナ・ホール、そして本作で長編映画デビューを飾るウィラ役のチェイス・インフィニティ。彼女たちが演じる女性キャラクターに託されたものが、実はこの映画に流れるメッセージだと思うのです。

バランス度 
★★★★★

カーチェイス度 
★★★★☆

コメディ度 
★★★★☆

監督・脚本

ポール・トーマス・アンダーソン

出演

レオナルド・ディカプリオ

ショーン・ペン

ベニチオ・デル・トロ

レジーナ・ホール

テヤナ・テイラー

チェイス・インフィニティ

配給

ワーナー・ブラザース映画

2025年10月3日(金)より全国公開中

Ⓒ 2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

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