1987年の放送開始以来、世界中の視聴者に家族の温もりを届けてきた『フルハウス』。同ドラマのジョーイ・グラッドストーン役で知られる、俳優のデイブ・クーリエが、日本のファンイベント「ハリウッド・コレクターズ・コンベンション(通称:ハリコン)」に参加するため来日を果たし、ハリウッドリポーター・ジャパンは独占インタビューを実施した。

デイブ・クーリエ Photo: Ryo Tateokaデイブ・クーリエ Photo: Ryo Tateokaデイブ・クーリエ Photo: Ryo Tateoka

「ハリコン」は、ハリウッド俳優とファンが直接ふれあえる交流イベント。25回目を迎えた「ハリコン No.25」では、人気海外ドラマ『フルハウス』のジェシー役で知られるジョン・ステイモスと、ジョーイ役のデイブ・クーリエがゲストとして来日を果たした。

『フルハウス』は、1987年から全8シーズン192話にわたり放送された国民的シットコム。妻を亡くした父ダニー(演:ボブ・サゲット)が、親友ジョーイ(演:デイブ・クーリエ)と義弟ジェシー(演:ジョン・ステイモス)と共に3人の娘を育てる姿を描き、世界中で愛されたホームコメディの名作だ。日本でも90年代に地上波放送され世代を超えて人気を集め、続編『フラーハウス』はNetflixで配信されている。

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そんなデイブ・クーリエが9年ぶりに来日を果たし、ハリウッドリポーター・ジャパンは独占インタビューを実施。『フルハウス』が多世代に愛され続ける理由、名セリフ「カットしてちょうだい!」誕生秘話、Mr.ウッドチャックの裏話、共演者との家族のような絆、そして故ボブ・サゲットへの深い想いまで、たっぷり語ってくれた。

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9年ぶりの来日! 「戻ってこられて本当にうれしい」

ーー2016年に『フラーハウス』のプロモーションで来日して以来、9年ぶりの来日ですね。久しぶりの日本はいかがですか。

デイブ:すばらしいよ。戻ってこられて本当にうれしいよ。日本の自然の美しさが大好きなので、またそれを体験できるのはとても幸せだよ。

ーー9年は長かったですよね。

デイブ:そうだね、僕ももうおじいちゃんになったからね。孫(男の子)は現在、生後5か月なんだ。僕の息子も日本に来ているんだよ。息子はFedExのパイロットで、ちょうど乗務の合間の滞在があったから、ここ数日は一緒に過ごせているんだ。

ーー今日は「ハリコン」で日本のファンとたくさん会われましたね。いかがでしたか。

デイブ:たくさんの赤ちゃんに会ったよ。僕たちは赤ちゃんを抱っこしたりキスしたり、たくさんのファンと会ってきた。番組が日本でこれほど大ヒットしたのは本当に驚きだよ。改めて思うと、とても謙虚な気持ちになるし、初めてその人気を体感した時と同じように、今回もまたそれを感じさせてもらった。本当に信じられないほどすばらしい気持ちだよ。

『フルハウス』が親から子へ受け継がれるわけ

ーー先ほどロビーで、赤ちゃんを連れたご夫婦と偶然隣り合わせて話をしました。観光で来ているのかと思ったら、「デイブとジョンに会うために来た」と言っていました。ご夫婦も、そしてその1歳の娘さんも『フルハウス』のファンだそうです。とても美しい瞬間でした。

デイブ:それはすばらしいね。あなたの言う通り、『フルハウス』はいまや多世代の番組になっている。かつて子ども時代に観ていた人たちが今は親になっていて、その子どもたちがまたこの番組を観ているんだ。世代を超えて広がっていくことを実際に感じられるのは、本当に特別なことだよ。僕らは人々にとてもポジティブな影響を与えられたんだと実感するんだ。たとえコメディドラマ(シットコム)であっても、当時の他のシットコムがやらなかったことをやっていた。とてもインクルーシブで、多様な国籍の人たちが出演していたし、音楽も多文化的だった。物語も典型的なシットコムの枠に収まらないものだった。それが子どもたちにとって心地よかったんだと思う。

そして何より、僕たちキャスト同士が本当に愛し合っていた。その気持ちは画面を通して伝わったんだ。そんな化学反応はキャスティングでは作れない。本当に自然に生まれたんだ。だから今でも僕たちはしょっちゅう連絡を取り合っているよ。誕生日も結婚記念日も欠かさず祝うし、妻のメリッサは明日から(DJ役の)キャンディス・キャメロン・ブレと一緒にいるんだ。妻とキャンディスが友達なんて、本当に素敵なことだよ。まさに家族なんだ。テレビシリーズとしては本当に特別なことだね。

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ーーどのようにしてその絆を築き上げたのでしょうか?

デイブ:それは自然に起こったことなんだ。プロデューサーのトム・ミラー、ボブ・ボイエット、ジェフ・フランクリンは僕たちを家族のように扱ってくれた。僕たちは年上組だったから、あの小さな女の子たちはまるで自分の子どものように感じていたよ。実際、自分の家族以上に一緒に過ごす時間が長かったからね。だからこそ僕たちは自然と保護者のような気持ちになっていたんだと思う。

100か国からの反響――世界的ヒットを実感した瞬間

ーー 『フルハウス』は世界中で、そして日本でも大ヒットしました。日本ですごく有名だと知っていましたか。

デイブ:全然知らなかったよ。それを知るようになったのは、番組がシンジケーション(再放送)で世界100か国以上に配信され始めてからなんだ。それから世界中から反響が届き始めた。スペインやギリシャ、日本、オーストラリア、ブラジル、ドイツなどからね。「日本ですごい人気だよ」「オーストラリアでも大人気だよ」って聞いても、行ったことすらなかったから不思議な気持ちだったよ。サンフランシスコを舞台に、3人の男が3人の女の子を育てるという典型的ではない家族の物語が、なぜこんなに世界中で受け入れられるのか?と思った。でもやっぱりさっき言ったように、僕たちキャスト同士のリアルな絆があったからなんだと思う。それは作り物ではなく本物で、観ている人にも伝わったんだ。

ーー振り返って、『フルハウス』はあなたのキャリアや人生にどんな影響を与えましたか。

デイブ:『フルハウス』は僕の人生を変えたよ。それまで僕はスタンダップコメディをやっていて、いくつかの番組や映画に出演したことはあったけど、『フルハウス』のようなものではなかった。野球で例えるなら、それまでは2塁打や3塁打くらいだったけど、『フルハウス』は満塁ホームランだったんだ。そこから一変して、どこへ行っても「君は『フルハウス』の…!」って声をかけられるようになった。それは本当にすばらしいことだし、ファンの優しさを感じられるのは特別な絆だよ。

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名セリフ「Cut it out!(カットしてちょうだい!)」誕生秘話

ーーあなたのキャッチフレーズ「Cut it out!(カットしてちょうだい!)」は、番組以前にスタンドアップコメディで生まれたものだと聞きました。

デイブ:そう、ずっと前からあったんだ。ちょっとしたエピソードを話すよ。僕の親友のマーク・センドロウスキーは、ドラマ『ビッグバン★セオリー/ギークなボクらの恋愛法則』の全てのエピソードを監督した人なんだ。僕とマークは8歳の頃からの友達で、一緒にコメディをやったり、ホッケーや野球をしたり、いつもショーをしていた。5年生の時に初めて一緒にコメディショーをやったんだ。マークがマーク・スワーヴェというキャラを演じて、シャツのボタンを外して観客の女性に歌ったりしてね。そのとき彼は「あなたが見てるのは分かってますよ、マダム。Cut it out!」って言ったんだ。僕は「いつかこれを盗ませてもらうよ」って言ったんだ(笑)。

それで、ニコロデオンのスケッチコメディ番組の『アウト・オブ・コントロール』(1984~1985年)に出演していた時に、そのフレーズを使い始めたら定着して、『フルハウス』のシーズン1でもアドリブで使ったんだ。観客150人くらいの前でリハーサルをしていて、僕が「Cut it out!」って言ったら、全員が大笑いした。ジェフ・フランクリンが「今の何?すごくおもしろかったよ」って言ってきて、それから『フルハウス』でも使うようになったんだ。発案者のマークには「まだ借りがあるぞ」って今でも言われるよ(笑)。

Mr.ウッドチャック――370万円の相棒と“犬事件”

ーー今日、Mr.ウッドチャックを持ってきてくれましたが、これは番組当時のものですか。

デイブ:それについては長い話があるんだ。オリジナルのMr.ウッドチャックのパペットは、僕と人形作家のランディ・シンプルが一緒にデザインしたんだ。彼はたくさんのパペットやマペットを作っていて、一緒に工房でデザインを考えた。それをプロデューサーに見せたら「これはいい!」ってなって、実際に作ったんだ。ただ、(表面の)毛皮の部分に「マペットフリース(アントロンフリース)」と呼ばれる特殊素材を使ったから、マペットの生みの親であるジム・ヘンソンの会社にロイヤリティを払わなきゃならなかったんだ。カメラで光を反射せず自然に見える特別な素材だったんだよ。

その後、プロデューサーが僕にそのMr.ウッドチャックをくれたんだけど、うちの犬(ゴールデン・レトリバーのレンジャー)が、Mr.ウッドチャックのことが大嫌いでね(笑)。毎日うなって睨んでたんだ。ある日帰宅したらリビングにウレタンが散らばっていて、Mr.ウッドチャックの顔が食べられていたんだよ!2万5千ドル(約370万円)もかかった人形だったのにね。でも犬は「ごめんなさい…」って顔をしていて、もう笑うしかなかったよ。だからオリジナルは犬に破壊されちゃったんだ。

そして、2016年に『フラーハウス』のプロモーションで、(米人気司会者の)ジミー・ファロンの番組に出演したとき、彼が「Mr.ウッドチャックを持ってきてくれない?」って言ったんだけど、「残念だけど犬に食べられちゃった」って答えたんだ。すると彼が「じゃあ作ろう!」って言って新しく作ってくれた。それが今の2代目ウッドチャックで、『フラーハウス』でも使ったんだ。だから今日持ってきたのはその2代目だよ。

ボブ・サゲットとの絆

ーーボブ・サゲットについて伺いたいです。彼は『フルハウス』にとってとても重要な存在で、あなたにとっても親しい友人でしたね。思い出を聞かせていただけますか?

デイブ:思い出はたくさんあるけど、ボブのユーモアはとても過激だったから、話せるものは少ないね(笑)。初めて会ったのは僕がまだ18歳で、デトロイトでスタンドアップをしていたとき、彼が舞台に立つのを見て衝撃を受けた。「自分もあんなふうになりたい」と思ったんだ。その後話しかけたら「LAに来たら電話しなよ」って番号を書いたナプキンをくれて。19歳でLAに出てから電話をかけたら「今何してる?」って言われて、会いに行ったんだ。当時アパートもなくて正直住む場所もなかったんだけど、ボブが「2週間出張に出るからソファで寝ていいよ」って言ってくれて。実際に2週間ボブの家のソファで寝泊まりしたんだ。その後『フルハウス』でもダニーの家のソファで寝る役になったのは、まさに現実がドラマに反映された瞬間だね。

ーーなんと、実話に基づいていたのですね。

デイブ:そうだよ。ドラマが現実を反映しているんだ。クレイジーだよね(笑)。

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ボブ起用で前代未聞の総差し替え

ーードラマのパイロット版では、当初ダニー役はボブ・サゲットではなく別の俳優さんだったんですよね。

デイブ:そうなんだ。最初はジョン・ポージーという俳優と一緒に撮影していて、シリーズもすでにABCに売却されていた。でもボブが出演可能になったので、ジョン・ステイモスと僕がABCでボブとスクリーンテストをしたんだ。するとABCが「ジョン・ポージーを降板させてボブを起用しよう」と決めたんだ。その結果、撮影済みのシーンを全部ボブで撮り直すことになった。数百万ドル(数億円)もの費用がかかったんだけど、結果的には大成功だったね。

リブートはある?――『Fullest House』に「ノーとは言わない」

ーー 『フルハウス』は続編『フラーハウス』が作られて、Netflixで配信されましたね。もしこの先リブートが作られるとしたら、ジョーイ役をやってほしい俳優はいますか。

デイブ:ジョーイは僕だけだよ。誰も僕の代わりはできない(笑)!もしやるなら『フルエスト・ハウス』をやるかもしれないね。絶対にないとは言わないよ。僕らみんなでその話はしたことがあるから。可能性はあるかもしれないよね。

ーーありがとうございました。最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

デイブ:みんなのことを本当に愛しています。ずっと特別な関係を築いてこれたと思います。再放送で番組が日本に届いて、その後こうして日本に来て直接会えた。ファンとの関係はちょっとしたラブストーリーみたいなものなんだ。日本に来て、みんなの愛を感じられるのは本当に素敵なことだよ。

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関連リンク

ハリウッド・コレクターズ・コンベンション(ハリコン) 公式HP: https://hollycon.jp

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