posted2025/09/12 09:00
(左)ブラッドリー・レナーさんはスプラッシュヒットをゲット /(右)大谷の日米通算300号を手にしたエミリー・サバジュさん
text by
柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Naoyuki Yanagihara
打球が観客席に突き刺さった瞬間、ファンの間には大きなざわめきが広がる。座席から身を乗り出したり、手を伸ばす人々の間でまさに争奪戦の様相に。現地記者が見た大谷翔平のホームランボールをめぐる数々のストーリー。
大谷翔平の番記者となって12年目を迎える。球場内の出来事は全て取材対象――。新人時代に先輩記者から伝えられた言葉だ。野球記者でいえば、本塁打球の行方の取材がその一つ。特に大谷に関する“記録がかかった節目の本塁打”や、“取材すべき事案が発生した本塁打”の行方を取材することは、いつしか基本動作の一つとなっていた。
ドジャースの今季でいえば、“記録がかかった節目の本塁打”は6月24日の敵地ロッキーズ戦だった。6-3の6回無死一塁、大谷が左腕ライアン・ロリソンの内角高めへの92.7マイル(約149km)の直球を両腕を畳みながら逆方向へ。日米通算300本塁打目だった。大谷の本塁打はすぐにSNSや中継のリプレー映像で流れるため、着弾地点や捕球した人のおおよその予想はつく。左翼最前列でソフトボール用のファーストミットで見事にダイレクトキャッチしたのは、地元女子大生のエミリー・サバジュさんだった。
「本当に信じられない。人生の中でも一番楽しかった瞬間の一つ」。地元のアダムス州立大ソフトボール部では一塁手で大谷と同じ背番号「17」。所属カンファレンスでは同大史上初のゴールドグラブ賞受賞歴もあり、将来の夢は大リーグ球団のGMだという。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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