
「未来のミライ」で2019年に米アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」が10日、第50回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門で公式上映された。写真はプレミア上映会に出席した同監督(2025年 ロイター/Atsuko Kitayama)
[トロント 11日 ロイター] – 「未来のミライ」で2019年に米アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」が10日、第50回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門で公式上映された。
北米プレミアとなるトロントでの上映に先立ち、細田監督は観客の歓声と拍手に迎えられ登壇。本作のテーマについて「生と死が交じり合う場所で、一人の女性が生きる意味を見つける映画」と話した。
映画はシェークスピアの「ハムレット」に着想を得て、王女スカーレット(声・芦田愛菜)が、叔父に殺害された父の復讐の旅に出る物語。しかしその旅路で、スカーレットは憎しみの悪循環から抜け出し、人生の真の目的を模索していく。
細田監督は映画上映後の質疑応答で、「復讐の連鎖はどうやって続くのか、どうやって終わるのか」という問いが出発点になったと述べた。復讐劇の「元祖」とされるハムレットを下敷きに「現代だったらどういう解釈で物語があり得るかと考えた」と述べた。
映画にはまた、「赦し」というメッセージが随所に込められている。
オリジナルのハムレットでは、幽霊となった父に復讐を促されるというストーリーだが、細田監督は「もし父が赦せと言ったら、ハムレットはどう悩んだのかと考えた。そこから自分自身の中でハムレットを探し出す旅が始まった」と述べた。
さらに、紛争に直面する現在の世界情勢を踏まえ、「どうしたらこの連鎖から人類が抜け出せるか、皆が平和を願っているのにどうして争いが起きてしまうのか」という問題意識を共有したいとの思いもにじませた。
「スカーレット」は11月21日に日本で封切られ、12月12日に北米で公開される。
(北山敦子 編集:佐々木美和)
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