NHK連続テレビドラマ小説『あんぱん』もついに終盤となった。阿部サダヲ演じるヤムおんちゃんの再登場があったばかりだが、今度は津田健次郎演じる高知新報の東海林編集長が再来する。

 津田は、朝ドラ不在の間にも、ゲスト出演した『19番目のカルテ』(TBS系)、10月スタートの日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)と出演作が続いており、人気の高さがうかがえる。オファーが途切れない理由を考察してみた。

津田健次郎、『1995』でさらなる新境地へ 初主演ドラマを機に振り返る“ツダケン”の奥深さ

ついに実現した、というほかない。津田健次郎が主演を務めるドラマを目にする日が来たのだ。
 フジテレビ系にて3月21日に放送され…

 ご存知のとおり、津田は長く声優として活躍してきた。ドラマ初主演は、意外にも2025年になってからだ。作品は、3月に放送された『1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声』(フジテレビ系)。フジテレビが30年間取材してきたデータをもとに、地下鉄サリン事件を考察した社会派作品だ。津田は、次々と地下鉄から患者が搬送されてくる病院の救命救急センター長・剣木達彦を演じた。剣木は、未曾有の事件の中、要請のあった患者の即時受け入れを決め、原因の特定ができない中で通常は農薬中毒に使用するという治療薬・PAMの投与を決断する。苦しむ患者を前に葛藤する姿や、助けられなかった人を前にした悔しさ、極限状態で感覚を研ぎ澄ませていく医師の姿には、まるで現場にいるような臨場感と切迫感があった。

 実際の事件当時、23歳だったという津田は、この役に臨むにあたってのインタビューでこう語っている。

「1995年といえば、バブルが崩壊して間もなくで、みんなの中である種の虚無感みたいなものが生まれていたのではないかと思いました。僕もその時代を生きてきた人間なので、同じような虚無感を抱えているところがありましたし、それは2025年の今も解消されるどころか、より根深い問題として社会に存在しているような気がしました」(※1)

 医師らの実際のニュース映像もたくさん観て研究したというが、表面的なことだけでなく、その時代全体の空気感まで考察をしている。このジャーナリストのような視点が、津田の強みの一つかもしれない。

 というのも、津田のジャーナリスト役は、この後3本続く。一つはもちろん、『あんぱん』の高知新報・東海林編集長役だ。東海林は王道の記者ではなく、社内アウトローとでもいうべき人物だった。のぶ(今田美桜)の入社試験では、かつて軍国少女だったことを問題視した上司らが反対する中で、東海林は「(戦後に)自分自身を墨で塗りつぶされたがです!」「世の中も、俺も、あんたらも……変わらんといかんがじゃないですか!」と語り、「責任は俺が持ちます」と断言する。

 眼光鋭く、権力に抗おうとする姿は、数々のヒーローを声優として演じてきた素地があるのだろう。やはり「カッコいい」という言葉がよく似合う。一方で、東海林は酒飲みでだらしないところがあったり、気が弱い面もあり、そこがギャップとなって、より魅力的なキャラにもなっている。SNSでも、「適当そうで熱い東海林さん良き……」「カッコいいとポンコツでかわいいが渋滞してる」といった「ギャップ萌え」な声が多いのも頷ける。

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