笑えるオペラ プロが集結 県立美術館で31日「電話」 音楽監督・瀬川さん&演出・林さん

舞台を演出する林美智江さん(左)。声楽家は右から田島茂代さん、近藤洋平さん=金沢市内で

 お笑いがありながらオペラの魅力が詰まった「コミックオペラ“電話”」(北陸中日新聞後援)が31日、金沢市出羽町の県立美術館ホールで開かれる。ピアノを弾いてオペラ歌手を指導し育てる専門職「コレペティトーア」を音楽監督、経験が豊富な演劇人を演出家としてそれぞれ迎え、声楽家の力を最大限に引き出そうとしている。(沢井秀和)

 音楽監督に就いたのは瀬川玲子さん(かほく市)。ドイツのライプチヒ音楽大で声楽科、コレペティトーア科を修了している。

 コレペティトーアは、ピアニストの中でもオペラに特化した専門職。瀬川さんは「音楽的表現、例えば、間の取り方や、盛り上げ方、表現に沿った声の出し方などについて声をかけている」と話す。京都府出身で11年前から県内に住む。

 演出を担当するのは林美智江さん(金沢市)。金沢市民芸術村を拠点とする「キッズ☆クルー」の演出を手がけている。林さんは「演者の方からエネルギーをいただき、アイデアを出し合いながらつくるのが楽しい」と笑顔を見せる。

 北陸の音楽家らでつくる一般社団法人「金澤芸術文化交流ネットサルーテ」が2月のオペラ「奥様女中」に続いて主催する。

 8月上旬、ベン役の近藤洋平さん(テノール)が、ルーシー役の田島茂代さん(ソプラノ)に、恋心を告白しようとする場面のけいこが金沢市内で繰り広げられていた。意を決してルーシーに話しかけようとするたびに、電話が鳴り響く。

 「電話を取る前に、目を合わせて」。林さんが田島さんらにそう注文した。「電話に出ていい?」という無言の問いに、それを受け止めるベンの心をアイコンタクトで表現してみせた。

 「電話」は、イタリア系米国人のオペラ作曲家、ジャン・カルロ・メノッティの作品。主催するサルーテ代表理事の長澤幸乃さんは「音楽監督と、演出家がそろい、ライブ感があり、オペラの楽しさが伝わるようになったのでは」と語る。

 31日は午後2時開演。名作オペラが聴ける第1部に続いて「電話」が公演される。一般は3500円から。学生は3千円。当日券は500円増し。(問)サルーテ事務局090(8804)6176

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