ニューヨーク(CNN) 米歌手テイラー・スウィフトが10月にリリースする新アルバム「Life of a Showgirl」は、ストリーミング配信に加えてレコード、さらにはカセットテープも発売される。

音楽を聴く手段としてのカセットテープは1980年代にレコードを抜き、その後CDに取って代わられた。便利な音楽配信が普及した今、そうした物理媒体は過去の遺物になったと思われていた。

しかしエンターテインメント関連のデータを集計しているルミネイトによると、米国では2023年、43万6400本のカセットテープが売れた。1980年代の4億4000万本には到底及ばないものの、2015年の8万720本に比べると目に見えて増えている。

オンラインストア「Tapehead City」のオーナー、チャーリー・カプラン氏によると、カセットテープはレコードやCDほどの人気はないかもしれないが、懐かしさを求め、音楽との深いかかわりを求めるファンの影響でちょっとした復活を果たしている。

古いカセットプレーヤー/Richard Bord/Getty Images
古いカセットプレーヤー/Richard Bord/Getty Images

「人々は自分が持ち続けられるものを持ちたがっている。特に今は何もかも、レンタルしたファイルが自分のスマートフォンに入っているにすぎないので」(カプラン氏)

「テープを使えば違った形で音楽を聴く体験ができる。完璧ではないけれど、それもいい。裏返して、アートを眺め、通しで聴く。もっと自分の感覚で音楽とつながることができる」

「スーパーファン」の影響力

ルミネイトによれば、このトレンドをけん引しているのは、米国の音楽リスナーの18%を占める「スーパーファン」の存在だ。スーパーファンは、配信やコンサート、カセットやCDなどの物理媒体を含めて少なくとも5種類の方法でお気に入りのアーティストとつながる。そうした商品やサービスに費やす額は月に39ドルと、平均的なファンの2倍を超えている。

そうしたファンはZ世代が中心で、2025年のカセットの売り上げは、チャペル・ローン、サブリナ・カーペンター、チャーリー・XCXといったトップ40アーティストが上位を占めた。米国でカセットを購入する音楽リスナーもZ世代が最も多く、9%が過去1年の間にカセットを購入していた。

レトロ技術を復活させているオンラインストア「Retrospekt」のオーナー、コリ・ファースト氏によると、カセットの購入者はミレニアル世代、Z世代、Y世代が大多数を占める。そうした世代は「スマートフォンから離れ、配信ではない方法で音楽に触れる機会を求めている」という。

「カセットテープは簡単に楽曲を飛ばすことができない」とファースト氏は言う。「アルバムを全曲通しで聴かなければならないし、途中で止めてテープを裏返さなければならない。そうした形のある体験は、完璧に行き届いたストリーミング配信のプレイリストを離れて息抜きするにはちょうどいい」

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