大阪府大阪市の梅田 蔦屋書店で文学コンシェルジュを務める河出真美さんによる個人文学賞「河出真美賞」の第1回受賞作が8月6日(水)、灰谷魚さんのデビュー短編集『レモネードに彗星』(KADOKAWA)に決まりました。

レモネードに彗星

著者:灰谷魚 発売日:2025年07月発行所:KADOKAWA 価格:1,815円(税込)ISBNコード:9784041163641

8月9日(土)から梅田 蔦屋書店の「河出真美賞」特設売場にて拡大展開されます。ぜひ、店頭で本書を手に取ってみてください。フェア情報はこちらから

【河出真美さんによる本書のおすすめポイント】

この本の収録作はどれも、一風変わっています。スカートと体が一体化してしまったり(「スカートの揺れ方」)、友だちが宙に浮きはじめたり(「かいぶつ が あらわれた」)、望んだ姿になれる宇宙人が登場したり(「宇宙人がいる!」)、と不思議な出来事が起こる。
また、いろいろなものへの軽蔑で繋がったふたりの関係を語る「純粋個性批判」では、あれも嫌い、これも嫌いといろいろなものを拒んでしまうような、誰もが程度の差こそあれ経験したであろう、「青い」時代が鮮やかに描かれているのですが、そういった不思議な出来事は起こらないにしても、その語り方が圧倒的に新しい。
収録作品中最長の「新しい孤独の様式」では、とても美しいが人に触れることのできない彼女と主人公のおかしな関係がどう転がっていくのかまったくわからず、予想外のところに連れていかれました。
この本を読んでいる間、他のどこでも読んだことのない、新しい感覚で書かれたこれらの小説を、いつまでも読んでいたいような気持ちでした。
今からすでに、灰谷魚さんが次にどんなものを書くのかが気になって仕方がないです。
第1回 河出真美賞『レモネードに彗星』をどうぞよろしくお願いします。

 

河出真美賞

「河出真美賞」は、梅田 蔦屋書店で文学コンシェルジュを務める河出真美さんが過去半年の間に出会った文学作品のなかで、新作・旧作を問わず本当に読んでほしい本を選出する個人文学賞です。毎年7月と1月の年2回、梅田 蔦屋書店の公式サイトおよび店舗公式SNSにて発表されます。次回(第2回)「河出真美賞」は、2026年1月の発表を予定しています。

河出さんが本賞を創設したきっかけは、第173回芥川賞・直木賞の「該当作なし」という結果です。

書店にとっては大きな売上を見込める機会ですが、「該当作なし」の発表後、書店で働く人々は、芥川賞・直木賞の候補作を集めて展開する、自店ならではの「受賞作」を選定するなど、思い思いに素晴らしい本を売るための試みを行いました。

そうした試みを知り、何か本を売るためのアクションを起こさなければと思った河出さんが思い出したのが、いろいろな書店で行われている個人文学賞のことでした。書店員がこれはという一冊を選び、自分の名を冠した賞を授賞するというものです。

例えば、高知県高知市のTSUTAYA中万々店で選定される「山中賞」の場合、同店では受賞作が芥川賞・直木賞の受賞作よりも売れるといわれています。

河出さんはそうした取り組みを参考に、「本当に売りたいと思う本、いいと思う本を、こんなふうに多くの人に届けたい」そう強く思い、今回、本賞を創設しました。

河出さん河出さん

【コンシェルジュプロフィール】

河出真美(かわで・まみ) 東北で育ち大阪に移住。子どものころから海外文学を愛好する。特技は語学で、日本語、英語、スペイン語、フランス語を解する。映画にも詳しく、映画原作本の梅田 蔦屋書店オリジナルカバーの制作や、映画のパネル展なども行っている。『三つ編み』(早川書房)、『中央駅』(彩流社)などの書評を執筆。梅田 蔦屋書店で文学コンシェルジュとして勤務するかたわら、主に日本語と英語で本を読み、数々の書籍にレビュー、コメントを寄せ、本に関するイベントへの出演など、読まれてほしい本を広めるために活動している。「左岸 Life for Books」としてブログ「夜になるまえに」を運営するほか、選書なども行う。2025年10月に第1回大賞が発表される「10代がえらぶ海外文学大賞」の選考委員も務めている。

 

梅田 蔦屋書店

梅田蔦屋書店梅田蔦屋書店

2015年5月にオープン。1,000坪を超える売場では、本はもちろん、文具・雑貨、個性豊かなショップなどをシームレスに楽しめる書店です。ファッションやトレンドに敏感な方やビジネスパーソンに向けて、仕事や私生活の時間をより豊かに過ごすためのライフスタイルを提案しています。

住所:大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア イーレ9F
電話番号:06-4799-1800(代表)
営業時間:8:30~21:00(不定休)
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