ジャンボ機は、成田からロンドンまで飛ぶのに、約120トン前後の燃料を消費します。
量に換算するとドラム缶で約710本前後。しかし空中で燃料補給ができないことや、目的地以外の空港に着陸しなければならないことなども考え て、実際に積む燃料は1000本近くになることもあります。 もちろん飛行ルート、 飛行機の重さ、上空の風などにより大きく変化しますが、このような大量の燃料をいったいどこに積んでいるのでしょうか。
答えは、主翼の中です。主翼は、揚力を発生し飛行機の重さを受け持つ主役の翼のこと。主翼は丈夫でしかも軽くするために、左図にあるようにスパー(けた、横に渡して他の部材を支えるもの)やリブ(小骨、けたに直角につける補強材)と呼ばれる部材に囲まれ箱形にできています。
そのため燃料のような液体を入れるには好都合な形となっています。ただすべての空間を1つのタンクにしているわけではありません。翼の構造を利用して、幾つものタンクに分けてあります。
燃料タンクが細かく分かれているのは、飛行機の姿勢が変わっても、燃料が中で勝手に移動しないようにするためです。170トンの重さの燃料が、飛行機の姿勢が変わるたびに勝手に移動したのでは、自由に飛ぶことができません。
また燃料は重心以外に、重石という重要な役割も担っています。飛行機の重さを支えているのは主翼です。
その主翼、とくに翼の付け根には大きな荷重(外部から加わる力)が作用します。 その大きな荷重を和らげる重石の役目をしているのが、翼の中の燃料、170トンの重さです。
エンジンの糧である燃料はどこに積むのか
ジャンボ機の翼の長さや 64m、根元の幅は11m、翼端は3.6m あります。翼の厚さを1m として単純な四角い箱にすると、5 m×50 m×1m となります。これから箱の体積=5×50×1=250m 3 となります。1m3は 1000リットルですので、リットルに換算すると約250000リットルあることになります。
実際に、仕様(使用する航空会社)によっても 異なりますが、ジャンボ機は約2160000リットル、ドラム缶にして約1080本の燃料が入ります。その燃料の重さは、実にジャンボ機の40%以上にもなります。
翼の形状から燃料が入る量は、中央翼タンク > No.2&3 メーンタンク > No.1&4メーンタンク > No.1&4 リザーブタンクの順になっています。
また、翼端にはサージ・タンクと呼ばれる通気口があります。紙パックの牛乳をストローで飲むとパックがつぶれてきますが、ストローの口以外にも穴が開いていればパックはつぶれませんし、飲みやすくなります。それと同じように通気口の役目は、主翼がつぶれないようにすること、および燃料をエンジンに送りやすくすることです。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 飛行機の話』著:中村 寛治
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