県立図書館に図書を寄贈した県退職校長会の池原武会長(前列中央)と寄贈を受けた同図書館の大宜見勝美館長(同左から4人目)ら=8日、那覇市の同図書館
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琉球新報朝刊
1989年に結成され、教育の振興や郷土の発展などを目的に児童生徒の支援に取り組んできた県退職校長会が、ことし3月の総会で解散した。新規加入者の減少に加え、コロナ禍で活動が停滞したことも重なり、会の継続が困難だと判断した。解散に合わせ繰越金や積立金約92万円を活用し、県立図書館に図書372冊を寄贈した。
会は小中学校の退職校長で構成し、当初、中頭、那覇、島尻の3地区で活動を開始。後に宮古、八重山、国頭の各地区が加わり、県内全域に活動が広がった。ピーク時の会員数は650人を超えたが、直近では435人にまで減少。行事への参加者も限定的となり、役員の選出も難しくなっていたという。
会の独自の活動として99年に始めた「善行児童生徒表彰」では2024年度までに352個人、144団体を表彰した。取り組みは「心の教育に資する」として、学校や関係機関から評価を受けていた。
県民の教育に対する関心と理解を深め、教育の一層の充実と発展を期するために取り組んだ「教育の日」制定要請活動では、各教育委員会への働きかけにより、県と34市町村での制定につなげた。現在も「教育の日」に合わせたさまざまな活動が各地で実施されている。
県立図書館への図書の寄贈は最後の活動として計画した。選定は同図書館資料・情報班の遠山享史班長が担当し、小中学生向けの図鑑など蔵書にないものを中心にそろえた。220冊は本館の児童コーナーに設置し、152冊は移動図書館などで活用する。
最後の会長を務めた池原武さん(74)は「会はなくなるが、会員それぞれが今後もいろいろな形で教育に関わっていきたい」と思いを込めた。図書の寄贈を発案した副会長の玉城きみ子さん(74)は「未来を担う子どもたちの知性、感性を育成する一助になれることをうれしく思う」と今後の活用に期待した。
県立図書館の大宜見勝美館長は「教育の日制定や善行児童生徒表彰など、長年の活動に敬意を表する。寄贈いただいた本は読書活動推進のため、末永く活用したい」と感謝した。
(外間愛也)
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