韓国映画界は、危機的状況に歯止めがかからない。
今年は2013年以後12年ぶりに、『カンヌ国際映画祭』で長編物が1本も招待されていない。
不振続きの映画界を盛り上げると期待されている2025年公開の話題作&大作を7つ紹介する。
韓国の映画界が、危機的状況に直面している。
2019年公開の映画『パラサイト 半地下の家族』がグローバル大ヒットを記録し、世界的に一目置かれるようになったのも束の間、残念ながらここ数年は興行に成功したといえる映画がほぼなく不振続き。今年に至っては、2013年以後12年ぶりに、『カンヌ国際映画祭』で長編物が1本も招待されていない。
国際的映画祭への進出の可否が韓国映画の良し悪しを決定付けるわけではないが、産業的な側面はもちろん、製作の多様性や文化的なステータスを見る映画祭において、戦える作品がなかったという点に、ますます今後を不安視する声が高まっている状況だ。
これに対し韓国映画(ベイビー・ブローカー/2022)を手掛けたことのある是枝監督は、韓国がOTTに力を入れる傾向にある点を上げ、観客の減少が製作者たちの業界離れに関係しているのではないかと分析。本国内でも、これらが一因であるとみられている。
そんななか、この沈んだ雰囲気を盛り上げてくれるのではないかと期待されている作品が。2025年に公開を控えている、もしくは最近本国でお目見えされたばかりの、韓国映画の命運を握る話題作&大作を7つ紹介する。
破果
『破果』は、4月30日に公開されたばかりのアクションスリラー。60代の殺し屋と彼女を追う謎のキラーの対決を描いたイ・ヘヨン&キム・ソンチョル主演作だ。

『破果』(画像出典:naver movie)
『第75回ベルリン国際映画祭』のスペシャル部門に招待された作品で、60代のキラーが自身の過去と向き合い人生を回顧する点や、過去と現在が交錯して真実が明らかとなる構成、善と悪の境界とはどこか、観る者にメッセージを投げかけてくる。
[破果 The Old Woman With The Knife] インターナショナル予告編
聖なる夜:デーモン・ハンターズ
『聖なる夜:デーモン・ハンターズ』は、4月30日にお目見えされたマ・ドンソク主演のオカルトアクション。特別な能力を持つ悪魔退治チームが悪に立ち向かう物語だ。

『聖なる夜:デーモン・ハンターズ』(画像出典:naver movie)
キレのよさよりも、ずっしりと重いパンチで相手をねじ伏せていくようなマ・ドンソク特有のアクションと、ついクスっと笑ってしまうコミカル演技をはじめ、主人公がトラウマを克服する過程と成長、観る者の想像力を刺激するファンタジー要素とリアルさの絶妙な調和が大きな見どころとなっている。
『聖なる夜:デーモン・ハンターズ』メイン予告編
全知的な読者の視点から
『全知的な読者の視点から』は、同名のウェブ小説が原作の、7月に公開を控えたファンタジーアクション。10年間連載された小説の内容と同じように滅亡してしまった現実を舞台に、結末を知っている者が小説の主人公と世界を救おうとする物語だ。

『全知的な読者の視点から』(画像出典:LOTTE ENTERTAINMENT)
イ・ミンホをはじめ、アン・ヒョソプ、チェ・スビン、シン・スンホ、ナナ(AFTERSCHOOL)、ジス(BLACKPINK)など、錚々たる役者陣の共演が叶った1作。小説の世界の中に入った主人公の手に汗握る生存劇はもちろん、原作の独特で複雑な世界観や構造をどのように描き出していのか注目されている。
『全知的な読者の視点から』ローンチ予告編
新人類戦争:復活男
『新人類戦争:復活男』は、今年下半期に公開予定のアクションスリラー。同名のウェブ漫画が原作で、死後72時間で復活する能力があることを知った主人公が、正体を知られてしまった者たちから追跡されるようになって始まる物語だ。

『新人類戦争:復活男』で主演を務めるク・ギョファン(画像出典:NAMOO ACTORS)
主演ク・ギョファン扮する平凡な就活生が持つ特殊な能力とその限界、有利な点をどのように描き出しているのかが視聴ポイントの1つとなっているそうで、彼の成長と彼を追う者たちとの対決からも目が離せそうにない。また、原作よりも大きな世界観で繰り広げられると予告されているだけに期待できそうだ。
仕方ない
『仕方ない』は、2025年秋のお目見えが予定されている、巨匠パク・チャヌク監督と、イ・ビョンホン、ソン・イェジンの最強タッグが実現した犯罪スリラー。ある日突然、会社を解雇された主人公が、家族と家を守ろうと再就職するために自分よりも若く能力がある5人を1人ずつ殺害していく物語だ。

『仕方ない』(画像出典:namu wiki)
25年という歳月を捧げた男性の復讐劇を描くとともに、現在社会が抱える労働問題に対する社会的メッセージ性まで含んでいるそう。偽の求人広告を出して殺害対象を集めるなど、ブラックコメディー要素も期待されている。
王を探して
『王を探して』は、製作費約300億ウォン(約30億円)が投入された今年公開される予定のSFアクション。1980年夏に、非武装地帯の村にやってきた正体不明の巨大な客を迎えることになった軍医官と住民の冒険を描いた物語だ。

『王を探して』で主演を務めるク・ギョファン(左)とソヒョン(画像出典:WYSIWYG STUDIOS)
韓国映画としては、初めて巨大ロボットを扱った作品という点において熱い視線を浴びており、興行に成功すればKコンテンツの可能性を広げるきっかけになることが予想される。平凡な軍人がヒーローに成長するという脚本や主演ク・ギョファンの演技、これまでにない魅力を発散することが期待されている看護師役のソヒョン(SNSD)はもちろん、技術面も大きな視聴ポイントになりそうだ。
熱帯夜
『熱帯夜』は、2025年にお目見えされる予定のハードボイルドアクション。夜でも熱気が冷めることのないバンコクで、生き残るために全力を注ぐ者たちの最も熱い24時間を描いた物語だ。

『熱帯夜』で主演を務めるウ・ドファン&チャン・ドンゴン (写真提供:ⓒ TOPSTAR NEWS)
麻薬組織の対立やリアリティー溢れるアクションが、舞台となる異国ムード漂うタイとどのように調和しているのか、また若手俳優ウ・ドファンと、映画界で活躍しベテランの域に達しているチャン・ドンゴンの演技対決も見どころとなりそうだ。『インサイダーズ 内部者たち』(2015)や『ハルビン』(2024)など、話題作を生み出してきた制作会社Hive media corpが手掛けた作品という点においても期待できる。
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